年齢、22歳。
部下の数、200人。
しかもそのうちほとんどは、自分より年上。
そんな人、なかなかいないんじゃないだろうか。想像してみても、かなり優秀な人物が思い浮かぶだろう。
そんな人物が今、まさに目の前にいる。しかも、自分のおじいちゃんとして。
17歳から教師助手として働いていたルネおじいちゃんは、1940年2月、22歳でフランス陸軍下士官となった。そこからわずか4か月で陸軍中尉にまで出世し、なんと200人もの兵士を指揮する立場になったのだという。
私は一瞬なんと言うべきか迷った。
「おじいちゃんは……強かったんですね」
戦争で評価されるということは、つまりたくさん人を殺したということだろうか? そこから目を背けたい自分がいた。おじいちゃんはただ、強く生き抜いた——そういう“おはなし”として戦争をとらえたいのに。
「やっぱりずいぶん活躍したから、すぐに昇進したんですよね?」
「Non(いや)」
しかしルネおじいちゃんは、短く否定した。
「俺が昇進したのは、俺の上官がほとんど殺されたからだ」