22歳の青年が国に逆らった瞬間

22歳でフランス陸軍下士官となったルネおじいちゃん。そこからわずか4か月で陸軍中尉にまで出世し、200人の兵士を指揮する立場になったのだそう。現在では考えられない昇進の理由に、牧村朝子さんは言葉を詰まらせます。そして、1940年6月のパリ放棄。“フランス兵は武装を解け”の指令に逆らったおじいちゃんは、200人の部下の前でどのような言葉を投げかけたのでしょうか。

 年齢、22歳。

 部下の数、200人。

 しかもそのうちほとんどは、自分より年上。

 そんな人、なかなかいないんじゃないだろうか。想像してみても、かなり優秀な人物が思い浮かぶだろう。

 そんな人物が今、まさに目の前にいる。しかも、自分のおじいちゃんとして。

 17歳から教師助手として働いていたルネおじいちゃんは、1940年2月、22歳でフランス陸軍下士官となった。そこからわずか4か月で陸軍中尉にまで出世し、なんと200人もの兵士を指揮する立場になったのだという。

 私は一瞬なんと言うべきか迷った。

「おじいちゃんは……強かったんですね」

 戦争で評価されるということは、つまりたくさん人を殺したということだろうか? そこから目を背けたい自分がいた。おじいちゃんはただ、強く生き抜いた—そういう“おはなし”として戦争をとらえたいのに。

「やっぱりずいぶん活躍したから、すぐに昇進したんですよね?」

「Non(いや)」

 しかしルネおじいちゃんは、短く否定した。

「俺が昇進したのは、俺の上官がほとんど殺されたからだ」

 青い瞳の色がいっそう深くなる。

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ルネおじいちゃんと世界大戦

牧村朝子

第二次世界大戦終戦から、今年で70年。「戦争」という言葉を聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 日本人にとっての戦争は、映画や教科書や遠い国のニュースの中のものとなりつつあります。そんな中、フランスで国際同性婚を...もっと読む

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コメント

takagi_toshi 有料会員…これはなって良い気がする。: 2年以上前 replyretweetfavorite

hirarisa_R この連載も担当してます |ルネおじいちゃんと世界大戦|牧村朝子 @makimuuuuuu https://t.co/7lXiCXmUDR 4年以上前 replyretweetfavorite

cocoa9245 くぅ~!早く続きが読みたい。 4年以上前 replyretweetfavorite

chaitea925 牧村さんの奥さんのおじいちゃん、戦争時代のお話です。 4年以上前 replyretweetfavorite