第24回】最強ソフト、ponanza

プロ棋士と互角以上の戦いを繰り広げるまでに進化した将棋ソフト。不可能を可能にしてきた開発者たちの発想と苦悩、そして迎え撃つプロ棋士の矜持と戦略。天才たちの素顔と、互いのプライドを賭けた戦いの軌跡。今日までのコンピュータ将棋に関する最前線を追った『ドキュメント コンピュータ将棋』が3月25日発売。本連載では、本書から特に電王戦FINAL出場者たちの素顔や想いの部分を抜粋して紹介していきます。


イラスト:さんぺい(@k_sanpei)

 強いソフトがあまた存在する中で、近年、多くの関係者から「最強」の声が高かったソフト。それがponanzaである。2013年から2014年にかけて、ponanzaは無敵とも言える強さを誇っていた。
 2013年、第2回電王戦では佐藤慎一四段に勝って、現役プロ棋士から初めて白星を挙げたソフトとなった。秋の電王トーナメントでは無敗で優勝。
 翌14年、第3回電王戦では大将として登場し、A級棋士の屋敷伸之九段を破った。

 本場所ともいうべきコンピュータ将棋選手権では毎回本命視されている。しかし不思議なことに、優勝までにはあと一歩届かない。それでも実質的にponanzaが最強だということは、衆目の一致するところであった。

 開発者の山本一成は1985年生まれで、愛知県出身。東大将棋部在学中に、プログラミングを始め、自然な流れで将棋ソフトの開発も始めた。Bonanzaをリスペクトして、できたソフトには、ponanzaと名づけた。多くのソフト同様、ponanzaも最初は強くなかったが、現在でははっきりと、Bonanzaを超えるほどに強くなった。知名度もまた追いついてきた。縦書きの文書ではそれぞれ「ボナンザ」「ポナンザ」とカタカナで表記されることが多く、ぱっと見では見分けがつかないこともしばしばである。

『ルポ 電王戦』(NHK出版)では、山本とponanzaに関して、比較的詳しく著した。

羽生名人との対戦への道


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 山本の夢は、羽生名人と対戦し、勝つことである。これまでのコンピュータ将棋関係者にとって、いつかは名人に勝つ、というのは見果てぬ夢だった。その目標をはっきりと広言しているのが、山本である。
 実力的には、現在の最強ソフトは、人間最強の羽生名人と勝負できるところにまで来ている。それは間違いない。しかし、その対局が実現するのかどうかは、また別問題である。

 電王戦は今回が「FINAL」と銘打たれている。5対5の団体戦形式は終わりとなる。しかし、その先については、現在のところは何も決まっていない。

 2010年、清水市代があからに敗れた後、米長はこう記している。

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ドキュメント コンピュータ将棋

松本博文

プロ棋士と互角以上の戦いを繰り広げるまでに進化した将棋ソフト。不可能を可能にしてきた開発者たちの発想と苦悩、そして迎え撃つプロ棋士の矜持と戦略。天才たちの素顔と、互いのプライドを賭けた戦いの軌跡。今日までのコンピュータ将棋に関する最前...もっと読む

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