傷口から人生。

結婚できない」という幸せ—書きおろし特別編

『傷口から人生』で、仕事・家族関係・恋愛・学校など、さまざまなテーマにまつわるエッセイをつづった小野美由紀さん。cakesでも抜粋掲載が好評の同作ですが、実はこの本のなかに収録されていないのが、「結婚」にまつわるエピソード。今回はcakesでの特別連載の最終回として、小野さんにとっての「結婚」について、つづっていただきました。

 cakesの読者のみなさま、「傷口から人生。」お楽しみいただけましたでしょうか。

 この本の裏のテーマは、「言葉」。

 私がこれまでの人生で、「背中を押された言葉」、「進まなかった言葉」、そして「世界の見方が変わった言葉」たちと、その言葉を人からかけられた時のエピソードを、25の章で描いている。

「自分が何者であるか悩んでいた時から、小野さんを守って、背中を押してくれた言葉を探してきてほしい」という担当編集者さんのメールが元となって、そんな本になった。

 人生のルービックキューブがかちりと回って、世界の見方がぐらりと変わる瞬間は、いつだって他人の言葉が、そっと指を添えてくれている。そういう気持ちで書いた。

 で。

 そんなこんなで、最終的には40本くらいの原稿を書いたのだけれども、その中で、最終的にこの本に収録されなかったエピソードがいくつかある。

 その中に、「結婚」について書いたエピソードがあった。今日はそれについて、書こうと思う。

 cakesさんでも様々な知識人、著名人の方が書いている「結婚」。

 私の周りにも、結婚できないことに悩んでいる人は、たくさんいる。

 たいていの場合、そういう人はあらかたじたばたして、自分が結婚できないという事実を受け止めきったあとに、腹を決めてあきらめている。

 あきらめたとたん、結婚したりするから、不思議なもんだ。

 でも、そもそもなんで皆、「結婚できない」というだけで悩むんだろう。

 一人で納税して、ごはんをたべて、仕事して。一人だってじゅうぶん完成しているはずなのに、法的に2人組になれない、ただそれだけで、なんだか未完成品みたいな気がしてしまう。

 結婚できない、というだけで、なんとなく、社会の網の目から取りこぼされたような気がしてしまう。

 自分の、本当は手で触って確かめてみれば、確かにそこにあるはずの半身が、なんだか本当は無くって、すかすかのような気がしてしまう。

 なんで、こんな気持ちになるんだろう?


 私も一時期、結婚について悩んでいる時があった。

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この連載について

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傷口から人生。

小野美由紀

中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。留学、TOEIC950点、インターン等々の無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだのにパニック障害に! 数々の困難にぶつかってきた女子、小野美由紀さんの衝撃と希望の人生格闘記『傷口から人生。...もっと読む

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コメント

cigarrita これいいわ、これ!  5年以上前 replyretweetfavorite

t_09_s 哲学科の先輩「子供は欲しい」 5年以上前 replyretweetfavorite

umekida 面白いし、刺さった。 5年以上前 replyretweetfavorite

Joker03869174 |傷口から人生。|小野美由紀 @MiUKi_None |cakes(ケイクス) 難しい https://t.co/0T9ZPrBI1q 5年以上前 replyretweetfavorite