お互いに「続けてくれていてありがとう」

漫才コンビ「博多華丸・大吉」の博多大吉さんと、落語立川流の真打・立川談慶さん。じつは1990年に、福岡よしもと(よしもとクリエイティブ・エージェンシー福岡支社)の第一期生の同期でした。福岡と東京でお互いに別々の道を歩みはじめ、まったく顔を合わせなくなってからも、同期の「つながり」が絶えることはなかったそうです。それはいったいどういうことなのか? 24年の時を超えた同期対談の後編です。

福岡よしもと1期生の、驚異の生存率

立川談慶(以下、談慶) いま話してて思い出したんですけど、9年前にMXの楽屋で会ったとき、大吉さんは「同期は生き残ってますよ」と、力強い言葉を残してくれたんですよ。僕も「同期」として見てもらえていたという喜びもあるし、「みんながんばってる」というのが、すごく嬉しかったんですよね。

博多大吉(以下、大吉) 福岡よしもとの1期生のうち、辞めちゃったのはひらきだけなんです。25~26歳のときに、佐川急便に就職して。たしか結婚を機に、もうちょっとまともな道に……みたいな。
※福岡よしもとの1期生:博多華丸・大吉、立川談慶、カンニング竹山、ケン坊田中、コンバット満、ひらき三振

談慶 たしかに現実を見ちゃうと、不安になりますよね。

大吉 でも、7分の6が生き残ってますからね。驚異の生存率ですよ。たぶん竹山がずば抜けて稼いでるでしょうけど、コンバット満もケン坊も地元でちゃんと仕事持ってるし、ふたりとも結婚して子供もいるし。

談慶 家庭を築けるだけの賃金を稼いでるわけだ。

大吉 みんなバイトしてないですもん。立派ですよ。

談慶 そのうえ大吉さんは、cakesさんで連載まで持たれて。僕も拝読してますけど、すごい文才だと思う。

大吉 ありがとうございます。あれを読まれた方は、みんな必ず「よう覚えてるね、そんな昔のこと」っておっしゃるんですけど、覚えてません? それこそ青木さんも、著書で昔を振り返ってらっしゃるじゃないですか。

談慶 人間の防衛本能として、自分に都合のいい思い出し方をしちゃいません? でも、大吉さんは当時の思い出の中で、落ち込みに落ち込んでるじゃないですか。だから、これだけ繊細な神経を持ち合わせているのに、こうしてお笑い界の第一線にいられるということは、逆にいえば大吉さんはすごく気持ちの強い人だと思ったんですよね。福岡よしもとにいた当時は、そこまでの強さは感じなかったんですよ。むしろセンスで生きてる人だなって。

大吉 たぶん、福岡よしもとの初代所長だった吉田武司さんが、一番驚いてますね。「おまえがこんなんなるとは思わなかった」って。
 一方で「俺の目が狂っていたとも思わん」ともおっしゃってましたけど。たしかに自分でも、ようここまでこられたなとは思います。

談慶 僕からしてみれば、大吉さんたちは絶対に売れると思ってましたよ。稽古場でもひしひしと本気が伝わってきましたし、マルコポーロみたいな過酷な現場でもウケちゃうんだから。

大吉 マルコポーロのイベントのときは、お客さんはほぼ僕らの身内でしたからね。彼らからしたら、青木さんひとりだけ知らない人でしたから。それに、漫才とかコントはツッコミも入るし、笑うポイントがわかりやすいじゃないですか。でも、漫談というのは、みんなあんまり見る機会がないから。

談慶 お手本になるような人もいなかったし、自分でも付け焼刃的なネタしか作れなかったら、目先のウケを狙って目立ちそうなことはなんでもやりましたね。苦しかった、ほんとに(笑)。

大吉 しかもまたトップバッターだし(笑)。

談慶 とはいえ、自分はああいう現場ではウケないという現実を突き付けられて、それに納得したから、長距離ランナーになろうと決められたんです。瞬発力じゃ大吉さんたちにかなわないから、細く長く、地道に芸を磨くしかない。もともと、福岡よしもとでの経験は落語家になる前の箔付けみたいな、甘いことを考えてた人間でしたからね。マルコポーロでのたうちまわったおかげで、踏ん切りがついたわけですよ。

僕らは「エンドレス・ロード」を走り続ける

大吉 でも、僕は「ここでウケたからどうなんだ?」っていう気持ちが常にありましたよ。だからこそ、青木さんが東京で談志師匠に弟子入りするって聞いたとき、失礼ですけど、「この人、本気なんだ!」って、ひっくり返りましたよ。青木さんは僕らの姿に「本気」を見てくださいましたけど、その印象をそっくりそのままお返ししたいくらい。

談慶 それは意外でした。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
24年ぶりの漫才師と落語家—博多大吉×立川談慶

立川談慶 /博多大吉

cakesの連載でもおなじみの、漫才コンビ「博多華丸・大吉」のツッコミ役・博多大吉さんと、『大事なことはすべて立川談志に教わった』、『落語力』という2冊の本を著し文筆業でも活躍中の落語立川流の真打・立川談慶さん。漫才と落語、異なるフィ...もっと読む

関連記事

関連キーワード

コメント

m_suikyou 大吉さんが談慶師匠のことを「青木さん」と呼ぶのが、時を感じすぎてつらい(語彙力)< 3年弱前 replyretweetfavorite

HIROMIcocteau 博多 大吉さんがサラッと談慶さんを本名で呼んでいることにグッときました。お二方の関係と時間ゆえですね(´▽`) 3年弱前 replyretweetfavorite

akashachi お二人の対談、じーんと来ました。 同期の繋がりってありがたいし大事なんだなぁと感じました。 http://t.co/rqCVW32SiO 5年弱前 replyretweetfavorite

s_hikaru 構成を担当しました。後編です。 5年弱前 replyretweetfavorite