第22回】序盤は村山に聞け

プロ棋士と互角以上の戦いを繰り広げるまでに進化した将棋ソフト。不可能を可能にしてきた開発者たちの発想と苦悩、そして迎え撃つプロ棋士の矜持と戦略。天才たちの素顔と、互いのプライドを賭けた戦いの軌跡。今日までのコンピュータ将棋に関する最前線を追った『ドキュメント コンピュータ将棋』が3月25日発売。本連載では、本書から特に電王戦FINAL出場者たちの素顔や想いの部分を抜粋して紹介していきます。


イラスト:さんぺい(@k_sanpei)

 村山慈明(やすあき)は東京都日野市出身。関係者やファンからは音読みで、「じめい」と呼ばれることが多い。

 1984年生まれで、同学年には親友の渡辺明二冠がいる。小学生名人戦では、渡辺は94年、小学4年生のときに優勝。村山は翌95年、小学5年生のときに優勝している。

 95年、桜井昇八段の門下として、奨励会に入会。同門には中田宏樹八段、飯島栄治七段、横山泰明六段、藤倉勇樹五段、伊藤真吾五段ら、多くの棋士がいる。

 毎日のように将棋連盟に顔を出し、奨励会三段の頃には、既に研究熱心さがよく知られ、実力も注目されていた。2003年、19歳で四段昇段。2007年には新人王戦で優勝した。

 序盤戦術の研究にかけては若手ナンバーワンの声も高く、「序盤は村山に聞け」とも言われる。これは同姓の名棋士である村山聖が周囲から終盤力を讃えられて、「終盤は村山に聞け」と言われたことにもちなんでいる。
 村山の序中盤の見解に対する信頼はずば抜けていて、一流棋士からもよく意見を求められる。羽生善治の研究パートナーであることでも知られる。

 順位戦でも昇級を重ね、2014年にはB級1組に昇級した。その際の記事に、村山はこう記している。

<(B級2組のある対局の終盤戦では)お互いに錯覚していたのである。これはとある「先生」の赤ペンチェックで気づいた。先入観の怖さと「先生」の終盤の正確さに驚かされた。>(『将棋世界』2014年5月号)

 その当時、村山に対して「おめでとうございます」と言った後で「先生とは誰ですか」と尋ねてみた。村山は笑って、

「激指先生です」

 と教えてくれた。村山はコンピュータ将棋の強豪ソフト、激指を重要な研究ツールとして取り入れていた。

 志願の出場


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 村山に対するインタビューは、1月の中旬にお願いした。村山に届いた年賀状にはほぼすべて、電王戦出場に対する応援メッセージが書かれていたという。村山に寄せられる期待は大きい。

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ドキュメント コンピュータ将棋

松本博文

プロ棋士と互角以上の戦いを繰り広げるまでに進化した将棋ソフト。不可能を可能にしてきた開発者たちの発想と苦悩、そして迎え撃つプロ棋士の矜持と戦略。天才たちの素顔と、互いのプライドを賭けた戦いの軌跡。今日までのコンピュータ将棋に関する最前...もっと読む

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コメント

k_sanpei cakesにてイラスト掲載していただきました! 3年以上前 replyretweetfavorite

j_s_br 村山慈明(しげあき) 3年以上前 replyretweetfavorite

takodori なんで本の方は読み仮名があっているのに、こっちは違っているんだろうか。テキストを手入力してるとか?> 3年以上前 replyretweetfavorite