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消えるアイデンティティ・クライシス!?
海外で子育てをする日本人の親の最大の心配の一つに「アイデンティティ・クライシス」がある。海外にいると、自分がどこの国に属しているのかを確かめたくなる時期が来て、子供たちは喪失感を抱き、深く悩むといわれる。海外で子育てをしている我が家もその対策を含めて長期の教育計画を常に練り直している。日本では帰国子女の存在とともに認識され始めたこのフレーズだが、世界ではアイデンティティ・クライシス自体が消えようとしているようだ。
先日、フランス留学時代の同期とシンガポールで再会し食事をする機会があった。彼自身は生粋のイギリス人で、奥さんは幼児の頃に台湾からアメリカに移住した台湾系アメリカ人。フランスで出会い、結婚して今は二人でシンガポールでビジネスをやっている。最初の子供はパリで、二人目はシンガポールで生まれた。
彼に日頃私が抱えている娘のアイデンティティ・クライシスについての悩みをぶつけてみた。その時、彼から帰ってきた答えはシンプルで自信にあふれた断定的なものであった。
「もううちの子やその周りの子たちにはそれはないよ。彼らの時代は"グローバルシチズン"っていうアイデンティティができているんだ」
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