発信力はビジネスの基本」 【第1回】アウトプットしなければ何もわかってもらえない

グローバル化や価値観の多様化により、たった一つの「正解」を追い求める時代から「コミュニケーション能力」が求められる時代へと変化してきています。そのような変化の中、価値のある情報を持ちつつもその表現方法がわからないために損をしていることが、ビジネスの現場のみならず日常的にもあるのではないでしょうか?本連載では「自分の意見の表現手法」についてわからないという人々のために、「発信力を鍛える方法」を筆者である木暮太一さんがわかりやすく伝えていきます。


〔PHOTO〕gettyimages

「伝える力」が求められる時代

「いい大学に入って、いい会社に勤めれば、将来幸せになれる。だからまずはいい大学に入りなさい」

そう言われていた時代がありました。しかし、今の子どもたちに同じアドバイスをすることはできません。「いい会社」に入れば幸せになれるとは限りま せんし、「いい大学」に入ったからといって「いい会社」に入れるわけでもありません。そもそもその会社が「いい会社」かどうかは人それぞれです。

多くの親がそれに気付いています。しかし同時に、多くの親が迷っています。自分の子どもに何を教えたらいいのか、どこを目指すように指導したらいいのかがわからないのです。

現在、いくら学校の勉強ができても社会では生きていかれません。これまでは、与えられた課題に対して「正解」を出せる人材が求められました。そのため、勉強ができる人(問題に答えられる人)が評価されていました。しかしこれからは求められる能力が変わります。単に勉強ができる子、いい高校・いい大学 に入る子が、社会で評価されるわけではありません。

「では、学校の勉強ではなく、どの分野を勉強させればいいのでしょうか?」

ぼくの講演会などに来てくれたママさんから、そう聞かれることがあります。お母さんたちは、「英語ですか? 算数ですか? それとも何か別の習いごとですか?」というように、「どの科目を勉強したらいいの?」と質問します。

しかし残念ながら、「この科目を知っておけば将来安泰」というものはありません。知識は重要ですが、知識だけあっても意味がなく、それを使いこなせなければいけないのです。

わかりやすく伝えることが必須

ただ、これから間違いなく必要になる能力があります。それは「伝える能力」です。自分が考えていることを、相手にわかりやすく伝える能力です。

これまでの日本は比較的画一的な社会でした。アメリカやヨーロッパと違い、言葉はひとつ、人種もひとつ、考え方もひとつ、という傾向が強くありました。そして、そのなかで、たった一つの「正解」を出すことを求められてきたわけです。

しかしこれからは違います。社会の中で「いろいろな考え方があっていい」と容認されつつあります。働き方や人生観についても、自分と他人は違っていていい、自分は自分、と考える人が増えています。

世の中が多様化しているわけです。世の中が多様化し、各自が「自分の意見」を持つようになると、「以心伝心」「暗黙の了解」が使えなくなります。考えていることは、言葉にして、文字にして、明示していかなければいけないのです。

以前、アメリカの大学にMBA留学した友人から話を聞きました。彼は、「向こうでは、『意見を言わない人は、意見を持っていない』と思われる」と 言っていました。日本では必ずしもそうは思われませんが、海外では「意見を言わない=意見がない、何も考えていない」となってしまうのですね。

今の子どもたちが大人になるころには、日本も同じような環境になっているでしょう。思っていることがあれば、相手に伝えなければいけない。伝わらなければ意味がない。そういう社会になっていきます。

社会で生きていくためには、様々な能力が必要です。その中には、学校で勉強する知識も含まれます。そして、ぼくは「自分の意見を言える、相手にわかりやすく伝えることができる」という能力は、そのなかでも大きなもののひとつに数えられると思っています。

発信力は生きる力

ぼくはいま、社会人に向けて「説明力養成講座」を開講しています。せっかくおもしろい内容や価値ある情報があるのに、“わかりづらい”というだけでその価値が世の中に伝わってない、ということをもどかしく思っています。

ぼくは受講してくれる方々にいつも「以心伝心で相手がわかってくれると思ってはいけない」という話をします。みなさんが話したい内容、伝えたいことは、みなさんが一生懸命伝えなければ、相手は聞いてくれません。

ただ伝えればいいのではありません。「一生懸命伝えなければいけない」のです。親や親しい友人、恋人であれば、相手がなんとか理解しようと、がんばって聞いてくれるでしょう。でも、そこまでの間でなければ聞いてくれません。

聞いてもらえなければ、みなさんの想いは伝わらず、ビジネスは成り立ちません。社内でも相手にしてもらえなくなります。

自分の意見を発信できない理由

「自分の意見を言えることが重要である」ということに対し、疑問を感じる人はいないと思います。しかしそれほど重要なテーマにもかかわらず、多くの人が自分の意見を言えずに苦労しています。

先日、「最近の子どもたちは、スマホゲームの影響で自分の殻に閉じこもり、自分の意見が言えない」という批判を耳にしました。でも、自分の意見が言えないのは子どもたちだけではありませんよね。大人も自分の意見を言うことができていません。

なぜ言えないのか? それにはいくつかの理由があると感じています。

【自分の意見を言えない理由】
1.言うのが恥ずかしい/意見を言ったらいけないと感じている
2.意見を持つために必要な情報を知らない
3.うまく表現ができない
4.自分の意見が「わからない」

【1.言うのが恥ずかしい/意見を言ったらいけないと感じている】
「自分の意見を言うのが恥ずかしい」「意見を言ったらいけない」と思ってしまう人は少なからずいます。これまで学校で自分の意見の「間違い」を指摘された 経験がある人は、このように感じる傾向があります。学校の授業では、「正解」が用意され、それ以外は「間違い」です。そしてその正解を言い当てられないこ とは、「下」とみられます。

かくいうぼく自身も、子供のころ大人たちから自分の意見を「間違えだ」と決めつけられ、バカにされた経験があります。そういう経験をしたら、意見を発信することに憶病になるのも想像できます。

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木暮太一の「経済の仕組み」

木暮太一

10万部超のベストセラー『今まで一番やさしい経済の教科書』などのビジネス書で知られる著者が、なんとなく分かったつもりになっていた「経済の仕組み」を懇切丁寧に解説します。ビジネスパーソンの基礎力を高めたいなら必読です。

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PaCoMo2018 きゃめろんがコアメンバーに共有してくれた、こちらの記事👨‍💻 とても考えさせられます💭 フォロワーの皆さんもぜひ読んでみてください💖 https://t.co/xpeKdd6KlJ 約1年前 replyretweetfavorite

mwwrr031 いい話だ。 1年以上前 replyretweetfavorite

earthdesign88 いかに発信できるか?情報過多の時代だからこそ、必要なスキル。 特にこどもたちのコミュニケーション能力は大丈夫だろうか? https://t.co/y9hafs8Noz 3年弱前 replyretweetfavorite

kobeyadaichan 僕は最近、発信よりも、拾って、反応したり投げ返したり、ときにはあえて拾ったきりにしたり、という能力が大事なのではないかと思うようになった。 https://t.co/QErvZ6yOnb 約4年前 replyretweetfavorite