名画に学んだ「うまさ」のこと
—— 『乙女の絵画案内』では、ドミニク・アングル『泉』を扱った章で、アングルの技術の高さに触れる一方、当時のスマイレージ(現在のアンジュルム)のメンバーを例にとって、「うまい」というのはそう簡単なことではないと書かれています。「うまさ」を考える上で、大事なポイントは何でしょうか?
和田彩花(以下、和田) センスかな、って最近思うんです。レッスンで先生がダンスをやって見せてくれるのですが、それを見て全部自分のものにしていくと、その先にその人らしさが出てきます。
—— 先生がやってみせるのをそのまま写すだけではなく、ですね。
和田 先生がやっている通りにできれば、それも「うまい」ということだと思います。技術がないとできないことなので。でもそこから先、そのまんまやるのではなく、振付や歌を自分なりのものにしていく「うまさ」もあると思うし。それがセンスなのかなと。
—— 先生のやっている通りに正しくできてはいないけれどセンスだけは感じる、というようなこともあるのでしょうか?
和田 いえ、先生がやっているのをできた上で、ですね、きっと。ハロー!プロジェクトの先輩を見ていても、先生のやる通りにできた上で自分のものにしていくんです。だから基礎を変えてはいけないけれど、変えられる部分を変えていく。ちょっとした角度やニュアンスですね。
—— 和田さんが自分なりに変えてみたりアレンジしたりしたところが褒められることはありますか?
和田 あんまり褒められることないんですよ(笑)。でも、みんなからよく言われるのは、「髪さばきがうまい」っていうことですね。
—— 髪ですか?
和田 髪の毛が長いので、踊っている時に顔に髪がかかってくるんですよね。でも慣れてくると、うまく顔にかからないように踊ることができるんです(笑)。それがうまいって言われます。
ドミニク・アングル「泉」(1856年)
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