ふたりの鬼才、どっちが好き? —「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」

およそ300年前、京都に二人の天才画家がいたのをご存じでしょうか? その二人とは、伊藤若冲と与謝蕪村。躍動感あふれる生きものの様子を描く若冲と、洗練された筆使いで描く蕪村。二人の似ているようで異なる画風を比べて見ることのできるチャンスが、サントリー美術館にて開催されている「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」です。春の陽気も感じられるようになってきたこの頃、お散歩のついでに寄ってみてはどうでしょうか。


左《紫陽花白鶏図》伊藤若冲・右《雪中雄鶏図》伊藤若冲

歴史というのはおもしろいもので、飛び抜けた才能が同時期に、いきなりいくつも出現することがままあります。たとえばレオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロとラファエロが同時代の、しかも近隣に生きていて、互いに顔を合わせたことがあるなんて、後世から見れば驚くしかありません。

同じような歴史のいたずらは、日本でもいくつも起こっています。その一例が江戸時代を代表する大物絵師、伊藤若冲と与謝蕪村の因縁です。ふたりはそろって1716年生まれ。しかも住んでいた場所は、京都の同じ町内の目と鼻の先。交流関係の記録が残っていないのは不思議ですが、同じ時代の空気を吸っていたことは間違いありません。

両者が残した作品による二人展が、東京六本木の東京ミッドタウン内、サントリー美術館で開催されています。「生誕三百年 同い年の天才絵師 若冲と蕪村」展です。

伊藤若冲は、事物を徹底的に観察して描くことで、独自の画風を開いた孤高の絵師です。対する与謝蕪村といえば、若いころは江戸にいて俳諧の分野で名を轟かせ、後半生は京都へ移り絵画を多く残しました。同い年でご近所さんだったとはいえ、作風の基本ラインはすこし異なるのですよね。並んで作品が展示されていても、完全に融合してしまうといったことはありません。とはいえ、ぶつかり合うというわけでもなく、違いがありながらも穏やかに調和しています。彼らが生きた時代と、当時の京都の町の雰囲気を、ふたりとも否応なくまとっているからなのでしょうね。

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アート・コンシェルジュからの便り

山内宏泰

世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む

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コメント

chiruko_t 巡回展いくで。  5年以上前 replyretweetfavorite

suisenteikyohji これは良い展覧会だった.行ってよかった。> 5年以上前 replyretweetfavorite

m0etetchand0n 明日はこれ観に行くよー。 5年以上前 replyretweetfavorite