松阪市は「うどん」ではなく「中華そば」
松浦達也(以下、松浦) それにしても石原さんは、本当にすっかり最近「伊勢の人」ですね。
石原壮一郎(以下、石原) もちろん伊勢にはたいへんお世話になっていますが、松阪出身者として松阪への愛も十二分に抱いているつもりです。じつは松阪は、最近「豪商の町」として売り出そうとしていて……。
松浦 (この気配りの細やかさ……)そ、その話はまたあらためて伺います。そもそも松阪の方って伊勢うどんは召し上がるんですか?
石原 伊勢の人ほどは食べないですね。松阪のうどんって普通のうどんなんですよ。やわらかいけど、おつゆのあるうどんなんです。
松浦 松阪だと名古屋文化は入ってきていたりはしませんか? きしめんとか味噌煮込みうどんとか。
石原 北部の桑名あたりは名古屋のベッドタウンでもあるんですが、松阪まで来るとそれほど名古屋の影響は強くないですね。きしめんや味噌煮込みは東京と同じくらいの頻度かなあ。それより松阪の特徴は中華そばですね。
松浦 中華そば……ラーメンではなくて?
石原 明らかに別物ですね。透明なスープで塩は効いているけど、塩ラーメンではない。玉ねぎ、なるとなどが入った五目そばのような……。玉ねぎを入れた中華そばというのは、他であまり見たことがありません。
松浦 タンメンのような感じでしょうか。
石原 似ていますけど、もう少しすっきりしたイメージです。松阪市内には昔からそういう中華そばを出している店が、知っている範囲で3~4軒はありますね。
松浦 伊勢うどん大使に続いて、松阪中華そば大使ですね!
石原 もちろん何かお手伝いするのは、まったくやぶさかではありませんが、その3~4軒で果たして盛り上がるかどうか(笑)。
伊勢うどん活動にはリスクもあった
松浦 でも伊勢うどん活動に力を入れはじめた頃もそうでしたよね。さっき話に出た伊勢うどんカフェで大行列ができたとき(2013年1月)のときも、まだ本気で本を出すおつもりはなかったんですものね。
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