第4回 年金投資利回りの話

揺れに揺れていた「年金問題」。2012年4月からの支給額の減額が決定しました。前回も説明したように、年金は日本国が運用する金融商品です。誰もが「年金制度」に不安を覚え、未納者が増える今、そもそも「年金」とは、加入者にとって魅力ある商品なのでしょうか。あなたの周囲に未納者がいたとき、あなたはどのように説得しますか?(『いきいき』2012年4月号より転載)

年金の仕組みってどうなの?

公的年金の支給額が4月分(6月支給)から0.3%減額されることになりました。過去に据え置かれた分を3年かけて調整することになると、10月分(12月支給)からさらに0.9%の減額になります。こうしたニュースがつづくと、「年金ってホントに得なの?」と思ってしまいます。そこで今回は、年金の投資利回りを調べてみましょう。

公的年金には、サラリーマンや公務員が加入する厚生年金・共済年金と、自営業者などそれ以外のひとたちが加入する国民年金があります。厚生年金(共済年金)の保険料は年収によって変わりますが、国民年金の保険料は収入にかかわらず一定です。

国民年金の仕組みはとてもシンプルで、20歳から40年間、保険料を積み立て、65歳から毎月払い戻しを受ける積立貯金と同じです。国民年金の保険料は2017年に月額1万6900円まで引き上げられ、それ以後は変わらないことになっていますから、毎年の支払額は20万2800円、40年間の総支払額は811万2000円になります。それに対して受給額は現行月額6万5741円(年78万8892円)で、これが生涯にわたって支払われることになっています。

しかし〝生涯〟といっても、長生きのひとも短命のひともいます。これはどのように考えればいいのでしょうか? 年金に加入する20歳の若者の平均余命は、男性で59.66年、女性で66.39年です。年金は65歳から支給されますから、国民年金に加入したばかりの彼らは、平均すれば一生のうちに、男性で14年8か月分、女性で21年5か月分の年金を受け取ることになります。

これはつまり、寿命において典型的な日本人を考えた場合、男性で約1235万円、女性で約1766万円が国民年金の総受給額になるということです(※)。

投資利回りは長生きの女性が有利

40年かけて811万円を積み立て、総額1235万円(男性の場合)を受け取るのは、はたして得なのでしょうか、それとも損なのでしょうか? 積み立てたお金が1.5倍に増えるのですから、得なようにも思えます。その一方で、40年も保険金を払いつづけ、65歳まで待ったのに、たった1.5倍にしか増えていない、ともいえそうです。

このようなときは、積立額と受給額を年率の運用利回りに換算して、他の金融商品と比べてみます。年金のような積立型商品の利回り計算はちょっと面倒なのですが、いまではパソコンの表計算ソフトが一瞬でやってくれます。

そこで計算してみると、20歳の若者にとって国民年金の投資利回りは、男性で年率1.48%、女性で年率2.44%になります(女性のほうが利回りが高いのは長生きだからです)。しかし、これでも疑問は解決しません。投資利回りが計算できても、これが有利なのか不利なのかはまだわからないからです。

銀行にお金を預けても、普通預金なら金利は0・02%です。それを考えれば、国民年金はものすごく得なように思えます。しかし証券会社が勧める毎月分配型の投資信託のなかには、分配金率が年5%を超えるものもあります。

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