傷口から人生。

“仕事”が分からない人へ(前編)

文筆家として活動している小野美由紀さんのもとには、「仕事との付き合い方がわからない」という相談がよく舞い込むそうです。大学時代は就活に失敗し、仕事を転々としていた小野さんも、もともとは絶望的に仕事ができない人間でした。小野さんは仕事との付き合い方がわかるようになったのでしょうか? 一体それはいつ? 『傷口から人生。』からとびきりのエッセイをお届けです。

 私のブログには、よく「仕事との付き合い方が分からない」というメールが届く。

「なんで就活をしないといけないのか分かりません。なんで学生4年やっていて、いきなり社会に放り出されるんだろう」

「仕事はつらいものだからしょうがない、とか、仕事だから割り切って、っていう言葉自体が死ぬほど嫌です。“働くのって大変なんだよ”とか、本当にそうなのかもしれないけど、そういうふうに言っちゃう社会や、言われること自体が死ぬほど嫌だ」

 20代の前半、私は、マジにマジに、絶望的に仕事ができない人間だった。

 24歳の時に最初にアルバイトで入った、小さな出版社のミシマ社では、あまりに仕事ができなすぎて、しょっちゅう怒られていた。私はいつもぼーっとしていた。あまりにぼーっとしていて、まっすぐ切れと言われた紙をまっすぐ切ることすらもままならなかった。150部刷るところを1500部刷って怒られたり、3ヶ月経っても荷物の発送業務すらも覚えられずに北海道に送るべき荷物をなぜか宮崎に送ってしまい、営業担当の社員さんに代わりに謝らせてしまったりしていた。しかもそれを「私がぼーっとしているのは、オフィスのエアコンがめったに稼働しないせいだ」と、心の中で勝手に言い訳していた。社長の三島さんにはいつも「いいか、集中や。集中すれば人間なんでもできるんや。小野さんに足りんのは集中だけや」と言われていたが、私にはどうしてもその「集中」というのができなかった。

 あまりに集中できなすぎて、ミシマ社はマイルドに首になったが、その時も私は「そもそも出版の仕事がしたいかどうか分からんし、他にきっと、集中できる仕事があるはずだ」と、わけの分からないことをほざいていた。

 この時の私は、「理想の職場」っていうもんが、どこかにあるもんだと思っていた。転々とすれば、そのうちそこに、辿り着ける。それに出会うまでは、本腰を入れられないのは、仕方がない。そう言い訳をして、私はずっと、ぼーっと現実をやりすごしていた。

 次に入った会社では、一日中Twitterばかりやっていた。一日8時間の業務時間のうち、9割5分をTwitterに費やしていた。

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傷口から人生。

小野美由紀

中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。留学、TOEIC950点、インターン等々の無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだのにパニック障害に! 数々の困難にぶつかってきた女子、小野美由紀さんの衝撃と希望の人生格闘記『傷口から人生。...もっと読む

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n_plus “150部刷るところを1500部刷って怒られたり、3ヶ月経っても荷物の発送業務すらも覚えられず/社長の三島さんに/「集中すれば人間なんでもできるんや。小野さんに足りんのは集中だけや」と言われていた” 4年以上前 replyretweetfavorite

bunhiken 「人生全部、旅にできる。就活も、仕事も、旅だよ」 → 5年以上前 replyretweetfavorite

1990yucchan こういうバー、名古屋にもあるといいな 5年以上前 replyretweetfavorite

hisaya_010279 「お前は自分の世界に酔ってる」 わいのことかなw http://t.co/qxFJsMCADa 5年以上前 replyretweetfavorite