若い彼のお店はうまくいくか?

今回の林伸次さんのコラムは、「参考になった!」というお声をいただくことの多いお店の作り方のお話です。常連客が連れてきた大学生の息子さんに、林さんが卒業後の進路希望を聞いたところ「お店をやりたい」との返事が返ってきました。夢が膨らむ彼をの話を聞いて、林さんがしたアドバイスとは?

「お店をやってみたい」と彼は言った

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

お店を長くやっていると、うちをデートで使ってくれていた方たちが「結婚します」と報告してくれたり、学生の頃から通ってた方が「今度、会社を始めるんですよ」と爽やかな笑顔とともに教えてくれたりすることがあります。

ある常連のお客さまも、つい最近まで「息子が小学生なんだけど」と仰っていたと思ったら、先日「もうこいつ大学生なんですよ」と、突然その息子さんと来店されました。そこで僕が「卒業したらしたいこととかあるんですか?」と質問すると、その若い彼からこんな答えが返ってきました。

「僕、人付き合いは嫌いじゃないんですけど、組織っていうのがどうも苦手で、会社勤めはあまり向いていなさそうなんです。だから、いずれは小さいお店をやってみたいなと思ってます。飲食店なのか、雑貨や本を売るお店なのか、全く決まっていないんですけど、自分のことを表現できるようなお店をやってみたいなって思ってるんです」

そこで僕はこんな風に答えました。

「お店、いいですよ。上司がいないから全部自分で決められるし、休みたいときに休めますし。雑貨店やってる友達なんて『買い付け』と称して北欧を半月くらい廻ったりしてますしね」

すると彼がこんなことを僕に質問しました。

「林さんはブラジルに行ったり、バーテンダー修行されたりしたんですよね。若いうちに外国に行ってこういう経験をした方がいいよ、とか、こういうお店で働いてみたら、とかありますか?」

彼、服装もただの流行りものを着ているのではない、自分らしさを持ったお洒落な雰囲気があるし、お酒を注文するときも「なんでもいいです」って感じではなくて、「このブラジルのお酒はどういう味なんですか?」って質問もするんです。若いのにもう自分のスタイルを確立されているし、お酒や音楽といった知らないものに対する好奇心もすごくありそうです。

僕がわざわざ「ヨーロッパはやっぱり階級社会だから、そういうのを肌で感じてみたら彼らが身につけている服や小物の意味がわかるよ」とか「味覚っていうものに詳しくなりたい場合はまず自分の普段の食生活から考えた方が良いよ」とか説明しなくても、自分自身でいろんな人やお店に出会って、自分だけのスタイルをより強固にしていくと思うんです。

前置きが長くなりましたが、今回はそんな彼にしたお話。今までにも何度かお店を始めるのをおすすめする記事を書いてきましたが、今回はもしお店を始めたいが考えておくと役に立つだろう、基本的な心構えのことです。もし興味があればぜひ参考にしてみてください。

お店を始めるにあたって考えるべきこと
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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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