電子書籍もずいぶん普及してきた。むかしは W-ZERO3 をリーダーにして青空文庫や自前のテキストを読んでいたものだが、いまどきの端末は画面が同等サイズでも重さは半分以下、ずっと大型でも100g~200g増えるだけですむ。そのうえ、フォントがきれいで文字サイズも可変、検索までできる電子書籍が持ち運べるのだから、いい時代になったものである。
(左)W-ZERO3。液晶は4対3の 3.7型(640×480)。重さ220g。
いい機械だった。いまでもけっこういけそう。ホールド感もいい。
(右)いまどきの端末、XPERIA Z3 SO-02G。液晶は16対9の 4.6型(1280×720)。重さ129g。
XPERIA は W-ZERO3 とほぼ同じサイズ(微妙に小さい)。薄さは3分の1。
メインの読書マシンには、いまは Windows 8.1 タブレットの8インチ型、いわゆる8タブを使っている。正直、iPad や Android 機のほうがずっと洗練されており、キビキビ動いて使いやすい。が、多少の苦労を乗り越えれば、両者にないメリットを見いだせるのが Windows タブレットのいいところ。ここでは、その長所短所と意外な発見、そして各電子書籍アプリの使い勝手について、簡単にまとめてみたい。
そのプロローグとして、やや誤解されているふしのある Kindle Fire HDX にも触れておこう。今回は1年以上前に書いておくべき内容なので、とくに目新しい話はないが、これから買う人の参考になれば幸いです。
タブレット導入の発端は〈氷と炎の歌〉だった。この物語には、hedge knight という、主君に仕えず、諸国武者修業の旅をしてまわり、傭兵働きもする騎士たちが登場するのだが、彼らが野宿のときに使う hedge、つまり「生垣」なるものの実態がよくわからない。英国式庭園にあるような整然とならべて刈りこんだものではなく、自然樹形の灌木を連ねたような感じで、じっさい、そういう「生垣」も英国にはあるようだ。だが、作者がイメージしているのは、具体的にどんなものなのだろう。
2013年の11月5日、中篇 The Hedge Knight (邦題「放浪の騎士」)のグラフィック・ノベル版が Kindle eBooks に加わった。生垣の絵が含まれていればしめたものと、さっそく購入を試みたものの、これがふだん使っている Kindle for PC では読めない。Kindle Fire系のほかは、iOS、Android、Windows 8 以降、このいずれかの Kindle アプリでないとダメだという。
(左)The Hedge Knight 表紙。(右)続篇 The Sworn Sword 表紙。
それでは、ということで、Windows 8 用のアプリを落とそうとした。ところが、こんどは 8.1 でなければダメとのメッセージ。やむなくアップグレードをかけたところ、意外にもあっさり完了。マイクロソフトもやるようになったもんだと思いつつ、8.1 から Amazon.com へアクセスし、再度アプリのダウンロード・ボタンを押した。すると、なんと……。
Amazon.co.jp のストアに飛ばされちゃうんですな、これが。なるほど、日本語 Windows は日本のストアのみにひもづけられていたのか、と後知恵でやっと気づいたしだい(いまならこの本、日本のストアでも買えるが、当時は売っていなかったのである)。さてさて、いったいどうしたものか。
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