こんにちは。外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
私ちょっと変わったペンネームを使っているせいか、「メッツェンバウムって何ですか?バウムクーヘン?おいしそう!」なんてご質問を頂きました。
「メッツェンバウム」とは、医療用の、主に外科医が手術中に使う極めて精巧なはさみの名前。先がしゅっと細くなっていて、0.1mmくらいの単位でもこれで切れます。私かなり愛用しているので、ペンネームに使わせていただきました。外科医によっては「メッチェンバウム」とも言いますが、私は「メッツェンバウム」派です。
さて、先日バイト先の病院でこんなことがありました。
あ、注釈ですが、医者ってバイトします。ほとんどの勤務医はバイトしています。よその病院に行って一晩当直したり、土日に病院の外来を担当したり。なぜか給料のワリがいいので、だいたい私の年収の30%くらいはこのバイトでまかなっています。
話を戻しますが、私が土日に行っているバイト先の病院でこんなことがあったんです。
白衣を羽織り、いつものように病棟に10時ごろ上がって行くと看護師さんからこんなお話が。
「先生、こんなことたまにしか来ないバイトの先生に申し上げるのも大変恐縮なのですが」
「ええ、なんでしょうか?何でもどうぞ^^」
「実はこの患者さんの痛み止めの麻薬が足りなくて・・。主治医の先生に上申したのですが、『指示通りやっていれば足りないはずがないでしょう』と感情的になられて追加で出してくれなかったのです」
「そりゃタイヘンだ」
「それで、主治医の先生にそれ以来このお話ができなくなってしまい、今日に至るのです」
私はこうナースから聞いてびっくりしましたが、「いるよな、こういう医者」とも思いました。なんでこんなことになっちゃうのでしょう?それは、このドクターが自分の仕事の「本質」をわかっていないからだと思うんです。
そもそも医者って、病人を癒し、病気を撃退し、人々の苦痛を取ることが生業ですよね。その少し先には、「困っている人を助ける」という「本質」があるはずなんです。困っているナースを助けるのだって、同じことだと思うのです。
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