女性同士ならコンドームはいらない?

パートナーと愛しあううえで、忘れてはならないのが避妊や性感染症の予防。しかし牧村朝子さんは、学校でも雑誌でも、その前提が「異性同士」であることに疑問を感じているそうです。今回は牧村さんが、女性と愛しあいたい女性や、それ以外の人に知っていてもらいたい「セーファーセックス」についてお伝えします。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

フランスの本屋さんで、めちゃくちゃ感動したことがあります。

性についての本が並ぶ一角に、こんな視点で書かれた本を見つけたんです。

「いかに女性を愛するか~異性愛男性、同性愛女性、女性とセックスするすべての人のために」

なんていうかもうものすごく「ありがとう!!」って思いました。

今まで私は、学校の性教育で「正しくコンドームをつけましょうね、コーラでは避妊できませんよ」みたいなことを言われ、さらに女性に対してのセックステクニック特集は男性誌でしか組まれない中、常々こう思ってきたんです。

「なんで女性とセックスする人にはみんなおちんちん付いてる前提なのよ!?」

女性とセックスする人は異性愛男性だけではないし、コンドームは必ずしも「おちんちんを守る道具」じゃない。おちんちんじゃないものが付いてる人にとっても、彼女と自分を守るための知識は必要なはずですよね。

ということで、今回はこちらのご投稿をご紹介します。

大切な彼女を傷つけたくないので、指用コンドーム使用を検討しています。また、オーラルセックスの危険性、予防方法についても、教えていただきたいです。ネットには情報が溢れていて、何を信じていいのかわからず悩んでいます。
(全文そのまま掲載させていただきました)


このご投稿からはご投稿者の方の性別は分かりませんが、今回は性別に関係なく、「大切な彼女と自分を傷つけないためのセーファーセックス」についてお話しますね。まずは、そもそもセックスにはどんなリスクがあるのかということについてです。

結論から言うと、女性同士のセックスでも、HIVに感染する可能性はゼロじゃないんです。

性感染症の危険に、性別は関係ありません。粘膜と粘膜の接触さえあれば、淋病・クラミジア・カンジダ・ヘルペスなどが感染する可能性があります。つまり、いわゆるオーラルセックスでもこれらの病気は感染しうるということですね。

また、仮に性感染症にまで至らなかったとしても、爪や歯などでデリケートな部分に傷をつけてしまったり、手洗いなどをきちんとしなかったことによる雑菌がかゆみやニオイの原因になってしまうことだってありえます。

だから、HIV、いわゆるエイズウイルスが感染する可能性だって、女性同士の間でもゼロではないんですよ(参照:アメリカ疾病予防管理センター)。

厚生労働省エイズ動向委員会は、1985年~2013年の間にエイズを発症した日本国籍女性の0.9%が、同性もしくは両性間の性的接触でHIVに感染したと報告しています。

ということで「避妊だけじゃなく性感染症予防のためにコンドームを使いましょうね」って話になってくるわけです。が、容易に手に入るコンドームって、男性器用なのよね……。

では男性器でないものが付いている人にとって具体的に何が使えるのか、続いてひとつひとつ見ていきましょうね。

女性同士の性感染症予防には、こんな方法があります。

(1)切り開いた男性器用コンドーム

男性器用コンドームの先端を切り落として筒状にし、更にそれを切り開いてシート状にしたものです。オーラルセックスの際、女性器にあてがって使うことで感染症リスクを減らすことができます。

【長所】
入手が簡単。フレーバーなど種類も豊富に選べる。

【短所】
ハサミで穴を開けてしまったり、一度舌が触れた面を誤って女性器に触れさせてしまうなどして、感染症予防効果がなくなる可能性がある。

【注意】
・衛生的な手とハサミで扱うこと。
・ゴムやラテックス等、素材に対するアレルギーに注意すること。

また、入手はやや困難ですが、歯科医療用の「デンタルダム」というフィルムを使う人もいます。海外の性感染症予防キャンペーンでは、コンドームとデンタルダムが無料で配られたりするんですよ。

もっと入手しやすいのは、食品用ラップですね。なぜかアメリカ退役軍人省が推奨しており、コンドームやデンタルダムと比べて“よく見える”のも利点です。ただし、必ずしも性感染症予防のために作られたものではないということと、「ちょっとラップ取ってくるね(ベリッ)」でお互い笑っちゃってセックスどころじゃなくなる可能性があることは頭に入れておきましょう。


(2)指用コンドーム


指用に開発されたコンドームです。薬局などで売っている、医療用の薄いゴム手袋や医療用指サックで代用する人もいます。

指や手による女性器への愛撫(いわゆる「手マン」)の際に、傷や感染症を防げます。また、小型のアダルトグッズに装着することで衛生的に使えます。

【長所】
専用品のため、安心・安全度が高い。

【短所】
入手がやや難しい。

【注意】
・使用中に破れないよう、爪を手入れしておくこと。
・衛生的な手で扱うこと。
・素材に対するアレルギーに注意すること。
・ワセリンなど、油性の潤滑剤と併用しないこと。水性潤滑剤か、潤滑剤つきの指コンドームを使いましょう。
・一度でも自分の女性器に触れた指コンドームで相手を触らない。つまり、互いの体液が混じらないよう注意すること。

以上のような道具による安全対策に加え、定期的な性感染症検査を受けることも大事です。性感染症検査では「最後にセックスをしたのはいつですか?」というような質問をされる場合がありますが、同性間のセックスも含めて答えましょう。

でも、カミングアウトの必要はありません。

性感染症検査の場合、要は「感染リスクのある行為をしたかどうか」だけを問われていますので、無理に「レズビアンです」「女性同士でしました」などと答える必要はありません。要するに、「したかしていないか/最後にいつしたか」だけ答えればいいんです。どうしても心配な人は、郵送検診など匿名で受けられる性感染症検査もあります。

セックスのリスクについて、神経質になりすぎなくても大丈夫です。しかし、その場の勢いやムードを優先して、後日「痛ーい……」「おりものに血が混じってる!」なんてことになるのはやっぱりイヤですよね。

セックスが終わっても、人生は続きます。セックスにおいてお互いの意思と安全が守られることは、性別に関わりなく最低限のルールです。

ですから、セーファーセックス、ちゃんと心がけましょうね。「あなたの体を想ってのことなの」「気にせず思いっきり楽しみたいから」って、むしろ更にムードを盛り上げるきっかけにしちゃいましょう。

ちなみに女性同士のセーファーセックスについては、著書「百合のリアル」第5章でも書いています。ぜひ読んでくださいね!

<牧村さんの他の記事も読みたい方はこちらからどうぞ!>


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百合のリアル (星海社新書)
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この連載について

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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beautifultaroko 性病知識💉シリーズ 全文は読めないんだけど 冒頭の文章だけでも読んでみてね😘 ご自身とパートナーとキャストさんを傷つけない為に https://t.co/1Ip3uNOCt1 9ヶ月前 replyretweetfavorite

beautifultaroko 性病知識💉シリーズ 全文は読めないんだけど 冒頭の文章だけでも読んでみてね😘 ご自身とパートナーとキャストさんを気づけない為に https://t.co/1Ip3uNOCt1 9ヶ月前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu ってか女性とオーラルセックスしたことある女性、どれくらいちゃんとセーファーセックス意識してるんだろう よかったら聞かせてほしいし、百合のリアルに書いた女同士のセーファーセックスについての記事ももう一度おいとくわね https://t.co/NchV5383J0 10ヶ月前 replyretweetfavorite

tomato_withnasu 指用コンドームってあるんだね 探してみよう https://t.co/PzuG76daJx 2年以上前 replyretweetfavorite