虐殺器官』までの伊藤計劃 第4回『ロード・オブ・ウォー』

伊藤計劃氏が亡くなってから、今年で6年。命日の3月20日には、伊藤氏のフィクション以外のエッセイ、インタビューなどを集成した『伊藤計劃記録(Ⅰ・Ⅱ)』がハヤカワ文庫JAより刊行されます。そこに収録された伊藤さんの個人ブログ「伊藤計劃:第弐位相」では、明らかにデビュー作『虐殺器官』につながる多くの映画・書籍がレビューされています。そのうちの5つのレビューを、5日連続で抜粋掲載します。


いとう・けいかく◎SF作家。1974 - 2009


01-02, 2006 いくさの王

■ロード・オブ・ウォー

「個性」を大切にしよう、と教育は語る。その子の、その子だけが持っている才能を伸ばすような教育こそ大切です、と。現代は個性の時代だ。あなたと、わたしが、ある点で異なっていること。その異なり方によって優劣が付くこと。

 その「個性」が人を殺す道具の、売り買いに関するものだったとしたら。ぼくはそれを手放せるだろうか。碇シンジ様曰く、「ぼくがいちばんエヴァを巧く使えるんだ!」その分野で他に並ぶもののない才能を手に入れることができたとき、他の分野でこれっぽちも冴えないこのぼくが、その一点においてとてもうまくやっていくことができるとわかったとき。それが人を殺す武器を売るという商売であっても、ぼくはそれをやめられるだろうか。

 できないだろう。ナルシシズムの強いぼくには。

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虐殺器官』までの伊藤計劃

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伊藤計劃氏が亡くなってから、今年で6年。命日の3月20日には、伊藤氏のフィクション以外のエッセイ、インタビューなどを集成した『伊藤計劃記録(Ⅰ・Ⅱ)』がハヤカワ文庫JAより刊行されます。そこに収録された伊藤さんの個人ブログ「伊藤計劃:...もっと読む

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コメント

prisonerofroad #伊藤計劃 #movie 5年弱前 replyretweetfavorite

ashes_j2mZ 作品集買おうかな。この人の文章はほんと好き。 5年弱前 replyretweetfavorite

Hayakawashobo 本日19日(木)更新分です 5年弱前 replyretweetfavorite

shiozaway 〈SFマガジンcakes版〉本日の記事を配信中です。「 明日は伊藤計劃氏の6回目の命日です。 5年弱前 replyretweetfavorite