セーラームーンにあこがれて—北欧女子インタビュー前編

日本に来て3年目のスウェーデン女子オーサ・イェークストロムさん。もともとスウェーデンで漫画家・イラストレーターをしていたオーサさんは、ブログで発表していた四コマ漫画が人気を博し、アメブロ総合ランキング第1位をとるまでに。それらを収録した『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』も、発売後数日で重版するほどの人気です。『美少女戦士セーラームーン』にあこがれて日本のマンガ・アニメに開眼したというオーサさんに、日本のこと、マンガのこと、いろいろお聞きしました。

セーラームーンが人生を変えた

— このたびは『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』、発売おめでとうございます。アメブロでの掲載時から大反響でしたが、本が実際出てみてどうですか?

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
北欧女子オーサが見つけた日本の不思議

オーサ ものすごく嬉しかったですね。私はスウェーデンでもイラストレーター・マンガ家として活動をしていましたが、ずっと、子供のころから日本でマンガを出版するのが夢でした。

— オーサさんはスウェーデンにいるときに『セーラームーン』と『犬夜叉』に出会い、マンガ家になることを決意したんですよね。それでストーリーマンガではなくコミックエッセイでデビュー、というのが少し意外でした。

オーサ もともと、ブログでマンガを描くことになったのは、専門学校の授業のためでした。授業は「インターネットコミニュケーション」といいましたが、そこでブログの管理の宿題がありましたので、それがきっかけでした。でも、あんまり文章が日本語でうまく書けませんので、それより4コママンガで描こうと思ったんです。その時は実は、1回だけの練習だと思ってしまいましたが、毎日半年の間、続けないといけない課題でした。たいへんでした(笑)。

— じゃあ、もともとはあまり多くの人に見せるつもりはなかったんですね。

オーサ はい。だからあんまりオチも考えてませんでした。自分のために描いてた、日記マンガです。おもしろくなくてもいいつもりだった(笑)。でも、スウェーデンって4コママンガというものがなくて、横に長い「スクリプト」というマンガしかありません。それで縦にすすむ日本の4コママンガがおもしろいと思って、いろいろ工夫するようになりました。

— そこから徐々に読者がついて、アメブロのランキングで総合1位をとるまでに。

オーサ びっくりしましたね、いろいろ。このマンガのおもしろさは、私多分よくわからないかもしれません。

— ご自分で描いているのにですか?

オーサ なぜかというと、適当な日本語じゃないですか。でも自分は、それをわかって描いているのではありません。でも、読者には「この日本語おもしろいですね」って言われる。

— セリフのリズムの独特さがかわいい、っていうのはたしかにありますね。人にお願いごとをするときに一生懸命敬語を駆使する回もおもしろかったです。「大変恐れ入りますが何か御座わないでしょうか!?」って(笑)。

オーサ 敬語が苦手かもしれません。よく挨拶で「誠に恐れ入ります」と言って、びっくりされます。

強い女の子と大人っぽいストーリー

— 台詞以外でも、オーサさんの「日本文化」に対する目のつけどころが素敵だなと感じました。コンビニおにぎりの開け方に半年かかった話とか、トイレのウォシュレットボタンと悪戦苦闘する話とか……。

オーサ 私がこれをおもしろいと思うことを描くと、読者はそれをおもしろいと思ってること自体をさらにおもしろいと思ってくれるみたいです。自分がわからないニュアンスがあります。

— 「おもしろい」っていうか、台詞も内容も「かわいいな」と思う要素が満載ですよね。絵柄もすごくかわいくて、日本の女の子の思う「かわいさ」にフィットしている気がします。絵柄のテイストはオーサさん自身がお好きで、もともとこういうふうに描いているんですか?

オーサ はい! そうです! 影響はやはり90年代のアニメから受けてます。『美少女戦士セーラムーン』とか『少女革命ウテナ』とか。良く言えば懐かしいスタイル、悪く言えば古いかもしれない。その影響を受けながらキャラクターデザインしました。でもやはり、自分が主人公になってしまいますと、かわいいキャラクターにするのはちょっとまずい気もしてました。でも普段はカワイイキャラクターを描くのが大好きですので……はい、しょうがないですね(笑)。

— オーサさんが日本のアニメやマンガと出会ったときって、結構周囲の人も見ていたんですか?

オーサ 私が初めて日本でマンガを発見した時にあんまり人気ありませんでしたが、今はものすごい人気がありますね。

— 初めて発見した時というのはどう思ったんですか?

オーサ 最初は『セーラームーン』を観ましたね。あんまりヨーロッパとアメリカでは女性向きなアニメがありませんでしたので、それはものすごい感動しましたね。

— 「女性向き」というのは、女性が主人公ということですか?

オーサ そうですね。『セーラームーン』はみんな女性じゃないですか。男性はタキシード仮面ぐらいです。おもしろかったです。物語もなんといいますか、ちょっと大人っぽくて。たとえば「キャラクターが死んでしまって、ものすごいショックになりまして泣いてしまいました」とか、そういうのは初めて見ました。

— 『NANA』もお好きだと聞きました。『セーラームーン』は毛色が違いますが、どういうところが好きなんですか?

オーサ 『NANA』は少しあとに読みました。少女マンガをたくさん読んで、そろそろ恋愛の話に飽きてしまった瞬間に『NANA』を発見しまして、「はー、これ新鮮感!」と思いました。もちろん恋愛の話もいろいろあるんですけども、大崎ナナはすごい好きになりまして。彼女は恋愛より夢のために頑張ってる感あったじゃないですか。そういう強い女性のキャラクターが好きです。『ウテナ』だとYURIが好きです。

— YURI? えーと……、あ、有栖川樹璃さんのことですかね?

オーサ そう! そうです。ちょっと名前が違うんですね。ウテナは映画もおもしろいんですけど、全部のアニメを見てもストーリーがあんまりわからないんですよね。ストーリー的には。不思議です。

— ウテナは日本語が難しいと言うか、日本人が見ても難しい暗喩や比喩がいろいろ出てくる作品ですよね。

少女革命ウテナ Blu-ray BOX 上巻【初回限定生産】
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オーサ スウェーデンだと、アニメやマンガ好き!って言ってる人も、とりあえず絵を楽しんでるところはあります。

なんで「ぼく」だとダメなの!?

— マンガやアニメで憧れていた日本に実際に来てみて、一番びっくりしたところって何ですか?

オーサ 例えば、外国人はよくあると思うんですけども、マンガかアニメで日本語を学びましたので、来日したときにもそういう言語を使ってしまい、ダメなことにびっくりしました。最初に日本に来ました時に、「わたし」じゃなくて「ぼく」と言ってしまいました。

— 基本的に男性だけが使う一人称だと気づかなかったんですね。

オーサ それと、日本では何でもあって驚きます。ホストクラブとキャバクラ、両方あって驚きました。

— マンガの中でもホストクラブとキャバクラ、両方に行ったことを描かれてましたよね。両方あることに、どうして驚いたんですか?

オーサ 男性向けも女性向けも両方あるということです。マンガもそうです。すごい萌えキャラのマンガもありますし、女性向きのBLなどなどいろいろありますし、そういうバランスがおもしろいなあと思います。どんな趣味の人にもサービスがある。

— 日本人ってやはりマニアックなんですね。

オーサ まにあっく? 「間に合う」?

— あれ、「マニアック」って和製英語なんですね。「凝り性」というか「オタク」というような意味です。

オーサ ああ! メイド喫茶とか、猫カフェとかもすごいです。

— そんなふうにいろいろなものがある日本で、オーサさんが一番好きなものは何でしょうか?

オーサ もともとはもちろんマンガとアニメでしたが、3年間過ごしましたら「人」がいちばん好きです。日本人の友達。周りの人、優しくていつも説明してくれます。

— シェアハウスにお住まいなんですよね。

オーサ マンガにとても出てきましたのが、シェアハウスの女性なんですけど、陽子と言います。陽子、本当に優しいです。実は勝手にキャラクター化をしてしまいましたが、でも一つの台詞の修正をお願いされただけで、それ以外全部大丈夫でした。描き直さずに済んでよかった(笑)。

— やさしいですね!(笑)

(後編へつづく)

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【オーサ・イェークストロムさんの本】

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)


この連載について

北欧女子オーサが見つけた日本の不思議

オーサ・イェークストロム

日本に来て3年目のスウェーデン女子オーサ・イェークストロムさん。もともとスウェーデンで漫画家・イラストレーターをしていたオーサさんは、ブログで発表していた四コマ漫画が人気を博し、アメブロ総合ランキング第1位をとるまでに。それらを収録し...もっと読む

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コメント

moroboshi__dan @Doleina 北欧女子のこのひととか https://t.co/6oXwu5v8CD 3年以上前 replyretweetfavorite

sarirahira ちなみに大人気コミックエッセイ『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』の作者オーサさんも「少女革命ウテナ」に影響を受けた話をしている https://t.co/q1TkBRkeRC 約4年前 replyretweetfavorite

bakufoo 極東の国に来て本を出版するって凄いよなぁ→ 5年以上前 replyretweetfavorite

kitamoto_nikki 見た。面白い。 書籍買う。 “@cakes_news: ” 5年以上前 replyretweetfavorite