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将棋は「礼に始まり、礼に終わるゲーム」と言われる。対局開始時には両対局者が一礼をして、「お願いします」と言う。そして負ける側は、はっきりと声に出して、投了の意思を告げなければならない。
「負けました」
「ありません」
「ここまでです」
言葉は特に規定されていない。何でもよい。しかし敗者は、いつかは、どこかではっきりと、投了の意思を告げなければならない。これが将棋の最も大事な、基本的なマナーである。子供に将棋を教える指導者は、まず何よりも、この点を強調することが多い。将棋を覚えたての子供同士の対局だと、自分の玉が詰まされたのを見て、ぐしゃっと駒を崩して終わりにする、ということはよくある。いや、子供だけではない。「負けました」の一言が言えずに、無言で盤の前を立ち去る大人もいる。これではいけない。将棋ほど負けて悔しいゲームは、そうはない。しかし、たとえどれほど悔しくても、口に出して負けは認めなければならない。
中原誠16世名人は、以下のような言葉を残している。
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