伊藤計劃 /SFマガジン
『
虐殺器官』までの伊藤計劃 第1回『戦争請負会社』
伊藤計劃氏が亡くなってから、今年で6年。命日の3月20日には、伊藤氏のフィクション以外のエッセイ、インタビューなどを集成した『伊藤計劃記録(Ⅰ・Ⅱ)』がハヤカワ文庫JAより刊行されます。そこに収録された伊藤さんの個人ブログ「伊藤計劃:第弐位相」では、明らかにデビュー作『虐殺器官』につながる多くの映画・書籍がレビューされています。そのうちの5つのレビューを、5日連続で抜粋掲載します。

いとう・けいかく◎SF作家。1974 - 2009
02-01, 2005 よき商売は、つねにそこにある
■『戦争請負会社』P・W・シンガー、NHK出版
Take a close look at the track record of this company, and you'll see that we've gambled in markets traditionally regarded as non-profit-hospitals, prisons, space exploration. I say "good business is where you find it".
と、ディック・ジョーンズ氏はおっしゃられたわけです。オムニ社ことオムニ・コンシューマ・プロダクツ社の重役会議において。病院や刑務所や宇宙開発とかいった利益をあげない分野を、我々はマーケットとして開拓してきた、と。「よき商売は、そこにある」というロボコップの「警察が民営化された未来」というのは、87年当時、中学生で劇場公開時に観た私の心にはものすごくインパクトのある設定として映ったわけです。警察が民営化なんて、そんな無茶苦茶な、でもブッ飛んでて凄い、と。
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この連載について
伊藤計劃 /SFマガジン
伊藤計劃氏が亡くなってから、今年で6年。命日の3月20日には、伊藤氏のフィクション以外のエッセイ、インタビューなどを集成した『伊藤計劃記録(Ⅰ・Ⅱ)』がハヤカワ文庫JAより刊行されます。そこに収録された伊藤さんの個人ブログ「伊藤計劃:...もっと読む
著者プロフィール
SFマガジンは2014年に創刊55周年を迎えた、わが国唯一の総合SF専門誌です。紙版は偶数月の25日発売で、特集を中心に内外のSF小説を数多く掲載しています。
こちらのcakes版では、SFに関するコラムやレビュウを中心に週刊で記事を配信していきます。
1974年10月生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』で作家デビュー。同書は「ベストSF2007」「ゼロ年代SFベスト」第1位に輝いた。2008年、人気ゲームのノベライズ『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』に続き、オリジナル長篇第2作となる『ハーモニー』を刊行。第30回日本SF大賞のほか、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門を受賞。2009年3月没。享年34。2011年、英訳版『ハーモニー』で、フィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞した。