こんにちは。外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
先日、「世界婚活」の結果パリジャンとご結婚された、cakes人気作家の中村綾花さんの『「結婚」ってしなければならないの?』を読ませていただきました。
その後Twitterで少しやりとりをさせていただき、私が「結婚しさえすれば幸せになれる病」にかかっていることがバレてしまいました。
その疾患に私がかかっているのは間違いありません。
でも、一方で別の自分がこんなことを私に言ってくるんです。
「結婚なんかしてしまったらおしまいだよ……」
私は過去に2回、真剣に結婚を考えたことがありました。
いつもメスで人ばかり切っている私ですが、今回は自分の身を切って、そんなお話をいたしましょう。
一度目は、大学時代です。
私が通っていた医大。この大学の医学生の8割くらいは一人暮らし、他のエリアの出身というかなり変わった環境。「恋愛行動半径」が5メートルほどしかない私は、医学部の同級生の子と付き合っていました。
お互いに一人暮らし、しかも故郷から遠く離れた地。20代前半だった私たちは、当然のようにほぼ同棲をしていました。
周りを見渡しても、そんなカップルがたくさんいたように思います。かなり特殊な環境ですよね。
で、大学4年生くらいから、いろいろすったもんだはあったのですが、2年間ほどお付き合いをしまして(医学部は6年間あります)。3年間ほぼ同棲で、さらに田舎で付き合っていると、なんだか雰囲気がもう夫婦みたいになっちゃうんですよね。
医学部も最終学年の6年生が近づいてきたころ、医学生のシューカツが始まりました。その時に初めて、「卒業したらどこいくの?どの県で働くの?」なんて、真面目に話し合うような、なんとなく聞きづらいような話をしたんですよ。彼女は、実家のある地方に戻ると決めていました。その地方は、私と縁もゆかりもない土地。知り合いも一人もいません。
ですから、もし私が彼女と離れ離れになりたくないのであれば、私もそこについていかねばなりませんでした。遠距離恋愛なんて、クソ忙しい研修医には100%不可能ですから。
ですが実のところ、私は東京の病院で働くことを目論んでいたのです。東京には全国から優秀な医学生が集まり、優秀な医師が集まっている、そして日々しのぎを削ってレベルアップしている。
地方の、県にひとつしかない医大でぼんやりと研修をしたって、元来ナマケモノの私はまともな医者になれないだろう。
そして、東京からは世界が見える。地方からは見えて東京までだ。
そんな、70年代フォークソングのような首都への憧憬が私の中にありました。
私は「彼女と結婚して彼女についていく」と「彼女との結婚を諦めて東京に行く」の二つを天秤にかけ、結局のところ後者を選択したんです。
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