職業としての物書きには禁じ手がいくつかある。手垢のついた表現はなるべく避ける、というのもその1つだ。だが、この日本科学未来館のユニークな展示については、「子供から大人まで楽しめる」という表現を使うことをお許し頂きたい。
まずは今年8月にネット上で大きな話題を呼んだYouTube動画、「フカシギの数え方」をここでみて欲しい。
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正方形のマス目で、左上から右下への通り道は何通りあるか——縦横のマスの数が1増えるごとに、通り道の数は膨大に増えるが、決して数えるのを諦めないおねえさんはある種の狂気を感じさせる。
130万回近く再生されているこの動画。英語字幕がついていることもあり、おねえさんの狂気が伝わったのかわからないが世界中から視聴されているようだ。総当たりで数を数えると大変なことになってしまうということが、とてもよくわかるお話しになっている。壮大なエンディングを迎えてもなお、この動画のタイトルである「不可思議(フカシギ)」=(10の64乗)に達していないことに気がつき戦慄した筆者は、この動画と展示を企画した未来館の中の人に話を聞きに行った。
左が未来館の科学コミュニケーター鈴木真一朗氏、右が筆者。
なぜ畳の上でチェスなどを囲んでいるのかは、後ほど。
この動画と展示との関係や、おねえさんはどうすれば「組み合わせ爆発」から逃れることができたのかを語ってくれたのは、科学コミュニケーターの鈴木さんだ。
「組み合わせを数える」ってどういうこと?
鈴木さん自身、この動画の反響の大きさに驚いたようだ。
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