子どもはロールプレイの達人!?
みんな、子どものころにどんな遊びをしていたか覚えてる?
幼稚園から小学校の低学年くらいまで、まだゲームやスポーツ、マンガなんかに夢中になる前、なにをやって遊んでいただろう?
たぶん、なにかしらの「ごっこ遊び」をしていた人は多いと思うんだ。
男の子なら、戦隊ヒーローごっことか、探検ごっことか、車掌さんになりきる電車ごっことか、探偵ごっことかね。
女の子だったら、おままごとも「ごっこ遊び」だし、ケーキ屋さんごっこ、お花屋さんごっこ、それからお人形の髪をとかしたり寝かしつけたりするのも、一種の「お母さんごっこ」みたいなものだよね。
ぼくが子どものころもヒーローごっこは流行ったし、そのあとの世代でも、ウルトラマンごっこや仮面ライダーごっこは大人気だった。ウルトラマン役と怪獣役に分かれて、それぞれの得意技を武器に戦うんだ。ウルトラマンや仮面ライダーになった途端、ほんとうに自分が強くなった気がしてね。
どうしてこんな話を持ち出したかというと、この4時限目で取り組んでもらう課題と密接につながっているから。
今回、みんなには「ロールプレイする力」を学んでもらおうと思います。
ロールプレイは、日本語に訳すと「役割を演じる」という意味の言葉。
子どものころに戦隊ヒーローになったり、ケーキ屋さんになったりしていたように、自分以外の誰かになりきってほしいんだ。
たとえば1時限目の「ハンバーガー店をつくろう」という授業。あのなかではみんなに、ハンバーガー屋さんの店長になりきってもらった。ロールプレイの一例だったともいえる。でも、どちらかというとあれは頭の体操レベルの話で、たとえば出店計画が失敗したときの責任問題とか、どんな人を雇ってお店をどう回していけばいいかかとか、そこまで深く考えなかったよね。あの授業の目的は「シミュレーション」だったので、ぼくもそこまでは求めなかった。
だけどこの授業では、ほんとうに自分が「当事者」になったらどう振る舞うのか、かなり具体的なところまで考えてほしいんだ。
なぜなら、その人の立場に立つことで、はじめて見えてくる景色があるから。
ケンカをしたときとか、クラスでいじめの問題が出てきたときとか、決まり文句のように「相手の立場に立って考えましょうね」といわれると思う。そしてきみたちも、逆の立場だったらどう感じるか、少しくらい考えたことがあるんじゃないかな。
でも、自分以外の誰かになって考えるって、かなりむずかしいことなんだよね。頭のなかで想像するだけでは、どうしても限界がある。