傷口から人生。

母を殴る(前編)

大好評の小野美由紀さんのエッセイ。今回はついに母親との関係が描かれます。勉強のことしか気にかけなかった小野さんの母親。東大入試の模試でB判定をとり、怒られていた高3の小野さんは、罵倒にたえられずに「あること」を告白するのですが……。
『傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった 』
(幻冬舎)の内容の一部をcakesで特別公開しています。

 私が溜め込んだタンポンをいかに売買しているのか、その話をしている時に母は直角に回転した。そのとたん、母とのあいだにだぁんと厚さ50センチのガラスの壁がふってきて、私の声はもう、彼女には届かない。

 家族ってなんだろう。

 私にとってそれは長い間、巨大な謎だった。

 今からその謎を解いた話をする。このことは思い出すだけで、両肩がダルくなる。けれど、私はこの話も、しなければいけないように思う。

 ある日、私は母に成績のことでなじられていた。高3の夏休みだった。母は私が受験の模試でB判定だったことにハラを立てていた。あんたに教育費いくらかかってると思ってるの、お母さんどれだけあんた育てるのに苦労してると思ってるの。母の毎日繰り返される洪水のような罵倒に私はそろそろ耐えられなくなっていた。

「あのさぁ」

 私は泣きながら母に言った。

「お母さんさあ、そうやって学費がどうのって私のこといつもいつも責めるけど、私そうやって小遣いもらうたんびにお母さんに怒られるのがいやで、タンポン売ってんだけど、知らないおっさんに。気づいてるよね?」

 そのとたん。

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傷口から人生。

小野美由紀

中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。留学、TOEIC950点、インターン等々の無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだのにパニック障害に! 数々の困難にぶつかってきた女子、小野美由紀さんの衝撃と希望の人生格闘記『傷口から人生。...もっと読む

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コメント

moetreehaihai 「わたしはある覚悟をした」 家族の問題って親と子であれ夫と妻であれ、問題から逃げてるうちは解決できない。覚悟がいる。 5年以上前 replyretweetfavorite

sayori552  後編を早く読みたい。すごく読みたい。 5年以上前 replyretweetfavorite

kaorutamako 家族に期待してはいけないと思っていても難しい。 手をあげてでも振り向かせたい時がある 傷口から人生。|小野美由紀 @MiUKi_None |cakes(ケイクス) 「 5年以上前 replyretweetfavorite