山内宏泰
台湾の少年少女たちに会いにいく——川島小鳥写真展「明星」
佐渡島に住む小さな女の子、「未来ちゃん」の写真をご存知でしょうか? 一度見たら忘れられない、険しくて可愛いらしい表情に、誰もが釘付けになったことでしょう。現在、渋谷のパルコミュージアムでは、「未来ちゃん」を撮影した写真家・川島小鳥さんが、作品の制作を台湾に移し、4年に渡って撮り続けた写真集「明星」と連動した写真展を開催しています。台湾の街に紛れ込んだような感覚に浸りながら、地元の少年少女たちの「素の表情」をお楽しみください。
どこかへ出かけていって、雄大な風景に感動すれば、写真を撮りたくなりますね。撮ったあとで画面を確認すると、ちょっぴりがっかりすることって多くありませんか? あれ、もっとスゴかったはずなのに。写真に収めてしまうと、その場の迫力がどうもうまく写っていない。スケールダウンしてしまう。
そんなときは、自分の写真の腕前を嘆きたくなりますが、原因はそれだけじゃないとおもいます。だって、本物と、写真という「写し」に差があるのは当然のこと。やはり実物は強いのです。実際に体験するというのは、何物にも代えがたいことなのでしょう。
写真家の川島小鳥が、台湾で撮り継いできた作品を発表しています。東京渋谷、パルコミュージアムでの川島小鳥写真展「明星」。
川島小鳥は、佐渡島に暮らす幼女を撮った作品《未来ちゃん》で広く知られていますね。とことんかわいく、とことん自由。小さい人間というよりも、小怪獣みたいで、圧倒的な存在感を示す未来ちゃんの写真に、多くの人の目が釘付けになりました。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/