誰も歩いたことのない
ちいさな道の その先で
誰も知らない小さな家に
彼女はひとりで住んでいた
誰ひとり 彼女をほめる人はなく
誰ひとり 彼女を愛する人もなく
そっと人目を避けるように
岩影に咲く すみれの花
かすかに輝く 遠くの星
だから私は 手を伸ばし
なくした過去に もういちど
くちびるふれる はずだった
もう彼女はうごかない
さよならルーシー 石のした
だけど木々や花々と
彼女はいまも まわってる
地球の自転に従って
ぐるぐるまわる
彼女が描く
雨上がりの 消えない虹を
「誰も知らずに彼女は死んだ」
ウィリアム・ワーズワース(1770~1850)
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