大森望
SF文庫を600冊担当した編集者[後篇] 採録・大森望のSF喫茶
この春、『ソラリス』で通巻2000番を迎えるレーベル「ハヤカワ文庫SF」。〈SFマガジン〉の4月号では3号連続の大型特集「ハヤカワ文庫SF総解説」を開始し、この快挙を盛り上げています。ゲンロンカフェの人気講座「大森望のSF喫茶」でも1月29日、本企画と連動してSF編集者2名が登場。第2部では600冊近くにわたる文庫SFの編集に携わってきた込山博実氏とともに、「青背」の誕生から現在までを一気に辿ります。
——さて、込山さんは早川書房を定年退職されたあと、今も社外編集者として文庫SFを作っていらっしゃいますが、最近はいかがですか?
込山 ロバート・ブートナーの《孤児たちの軍隊》というのがまた、どういうわけかよく売れてしまって、続々と刊行が続いております。
——翻訳する作品はどうやって選ぶんですか? アメリカでもミリタリーSFはものすごく量が多いじゃないですか。それこそKindleダイレクト・パブリッシングとかでも個人出版のミリタリーものがたくさん出ていて、電子書籍で何万部も売れている本がいくつもあったりするなかで、どうやって選ぶのか。
込山 いや、もう自分で読むしかないです。外に出してリーディングをお願いするにしても、まずは最初の1、2章を自分で読んでみないと。つまらなくてすぐやめちゃったりもするし、面白くて最後までいっきに読み通せたら、絶対に出す。この1月に出たばかりのジェイ・アラン『真紅の戦場』も僕が自分で読んで、ああ、これはすごく面白い、売れるだろうと思って出した作品ですね。
——逆に、こんなに面白いのに全然売れなかった、というものはありますか?
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この連載について
大森望
この春、スタニスワフ・レム『ソラリス』で通巻2000番をむかえるレーベル、ハヤカワ文庫SF。〈SFマガジン〉4月号では3号連続の大型特集企画「ハヤカワ文庫SF総解説」によりこの快挙を盛り上げています。
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著者プロフィール
1961年生まれ。もぐりのSF屋(アイコンは故・水玉螢之丞画伯作成)。責任編集の『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門受賞。著書に『20世紀SF1000』『新編 SF翻訳講座』など。訳書にアシュビー『vN』、ウィリス『航路』『混沌ホテル』『空襲警報』ほか多数。毎週木曜、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」出演中。ハロヲタ(新参)。アイドル・ライター修業中。
Twitter:@nzm