大森望
日本の文庫出版を変えた編集者[後篇] 採録・大森望のSF喫茶
この春、スタニスワフ・レム『ソラリス』で通巻2000番を迎えるレーベル「ハヤカワ文庫SF」。〈SFマガジン〉の4月号では3号連続の大型特集「ハヤカワ文庫SF総解説」を開始し、この快挙を盛り上げています。五反田ゲンロンカフェの人気シリーズ「大森望のSF喫茶」でも1月29日、この企画と連動する形でSF編集者2名が登場。第1部後篇では森氏の日本人作家との関わりと、あの大型シリーズの誕生秘話に迫ります。
——カバーを描かれた有名漫画家たちもそうでしたが、森さんは日本人のSF作家も、すでに他のジャンルの第一線でも活躍していた方々をたくさん起用されていますよね。先日亡くなられた平井和正さんもそうでした。半村良さんについても、森さんが再発掘されたとか。
森 そうですね。半村良さんからは「自分を再生させてくれた」と言われました。「鳴かず飛ばずで小説家をやめようと思っていたとき、君が長篇を書かせてくれた」と。SFマガジンは毎年2月号が創刊記念号にあたるのですが、そこで日本人作家の特集をよく組むんです。1970年の2月号は私が2代目編集長になって初めての日本人作家特集号で、そのとき依頼した作家のひとりが半村さん。書いてきたのが「赤い酒場を訪れたまえ」という短篇でした。

〈SFマガジン〉1970年2月号目次。半村氏のほかにも、日本SFのオールスターが揃い踏み。
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この連載について
大森望
この春、スタニスワフ・レム『ソラリス』で通巻2000番をむかえるレーベル、ハヤカワ文庫SF。〈SFマガジン〉4月号では3号連続の大型特集企画「ハヤカワ文庫SF総解説」によりこの快挙を盛り上げています。
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著者プロフィール
1961年生まれ。もぐりのSF屋(アイコンは故・水玉螢之丞画伯作成)。責任編集の『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』全10巻で第34回日本SF大賞特別賞、第45回星雲賞自由部門受賞。著書に『20世紀SF1000』『新編 SF翻訳講座』など。訳書にアシュビー『vN』、ウィリス『航路』『混沌ホテル』『空襲警報』ほか多数。毎週木曜、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」出演中。ハロヲタ(新参)。アイドル・ライター修業中。
Twitter:@nzm