豊かさ」の次に欲しくなるものはなにか?

戦後、人々は「衣食住」を求め、それが満たされると「生活や文化」を向上させる欲求が生まれました。その両方が満たされた今、私たちは何を求めているのでしょうか? 世の中の様々な問題を学習する「よのなか科」の生みの親である藤原和博さんが、中高生とその親のために書き下ろした新刊、『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(朝日新聞出版)の内容の一部を3月6日の発売に先駆け、cakesで公開していきます。

よのなかから消えた〝正解〞

さて、みんなは「失われた20年」と呼ばれる時代に生まれた世代です。

テレビや新聞じゃなんとなく「失われた20年」って言ってるけど、この20年でなにが失われたかわかるかな?

きっと、みんなのご両親だったら、「経済成長がゼロだった」とか「デフレから脱却できなかった」みたいな、国民経済に関する話をしてくれると思う。たしかに、経済の落ち込みは大きな問題だ。

でも、「失われた20年」の本質はそこじゃない。この20年で失われた、いちばん大切なもの。それは、かつて日本のみんなが共有していた〝正解〞なんだ。

わかりやすいところで説明しよう。

ぼくが子どものころ、娯楽の王様といえばテレビだった。リビングのいちばんいい場所にテレビが置かれ、家族そろって同じ番組を見る。連続ドラマに歌番組、外国映画にクイズ番組、高校野球にプロ野球。そして大晦日おおみそかになれば、紅白歌合戦にゆく年くる年、というわけ。

家族の好みを心配する必要はありません。ブラウン管の画面には、家族のみんなが知ってる歌手が登場して、家族のみんなが知ってるヒットソングを歌っている。俳優さんも、アイドルも、クイズ番組の司会者も、みんなが知ってる「あの人」や「あの子」だったんだ。

でも、いまはどうだろう?

お父さんやお母さんと、好きなアイドルや好きな歌の話が通じるかな?

同じ部屋で、同じ番組を見ながら大笑いできるかな?

そもそも、そんなにたくさんテレビを見てるかな?

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たった一度の人生を変える勉強をしよう

藤原和博

暗記中心の「勉強」は、もはや役に立たない。では、かわりに何を学べばいいのか? 世の中の様々な問題を学習する「よのなか科」の生みの親である藤原和博さんが、中高生とその親のために書き下ろした新刊、『たった一度の人生を変える勉強をしよう』(...もっと読む

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