雨がぽつぽつ ふりだして
つま先濡らす 夕暮れどき
物悲しいのは あたりまえ
だけど こんな時だって
おれは自分の歌をうたう
聴いてる人がいなくとも
雨がしとしと ふりだして
外套 銃身 黒くぬらす
火薬の匂い 鉛の空気
だけど こんな時だって
あの窓 この窓 向こうでは
ひそかに愛が 燃え続けている
銃弾飛び交う 空の下
カーテン締めて 愛を 交わせ
崩れ落ちてく がれきの上
きつく抱きしめ 愛で 笑え
「戦争四年目」
ヘルマン・ヘッセ(1877~1962)
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。