新訳 世界恋愛詩集

戦争四年目」ヘッセ

どれほど困難な状況でも、私たちを最後まで支えてくれるもの。それはいつの時代も変わらないのではないでしょうか。第一次世界大戦勃発時、当時の好戦的な論調に心を痛めたドイツの詩人ヘッセ。新聞に寄せたひかえめな警告文が元で、非国民扱いを受け、マスコミからの総攻撃を受けることとなりました。戦時下の1917年に書かれた本詩が、菅原さんの手によって超訳され現代に甦ります。
詩人天気予報」などで話題の詩人・菅原敏さんが、古今東西の詩人の作品に新訳という名のオマージュを捧げる本連載。気鋭の現代美術家・久保田沙耶さんのアートワークとともにお楽しみください。


雨がぽつぽつ ふりだして

つま先濡らす 夕暮れどき

物悲しいのは あたりまえ

だけど こんな時だって

おれは自分の歌をうたう

聴いてる人がいなくとも



雨がしとしと ふりだして

外套 銃身 黒くぬらす

火薬の匂い 鉛の空気

だけど こんな時だって

あの窓 この窓 向こうでは

ひそかに愛が 燃え続けている



銃弾飛び交う 空の下
カーテン締めて 愛を 交わせ



崩れ落ちてく がれきの上
きつく抱きしめ  愛で 笑え



「戦争四年目」

ヘルマン・ヘッセ(1877~1962)

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新訳 世界恋愛詩集

菅原敏 /久保田沙耶

あまたの恋を書き残してきた、かつての詩人たちに、新訳という名のオマージュを。『新訳 世界恋愛詩集』は気鋭の詩人、菅原敏による新連載。いにしえの恋愛詩の輪郭を、菅原敏のいまの言葉でなぞっていきます。古い詩集に絵の具を落とし、新たな色で輪...もっと読む

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writer_matsuoka 『戦争四年目』ヘッセ https://t.co/TwIzfzLJ8i 雨がぽつぽつ ふりだして つま先濡らす 夕暮れどき 菅原敏/久保田沙耶「 約5年前 replyretweetfavorite

sugawara_bin 【さよなら日曜日に詩をひとつ】 『戦争四年目』ヘッセ https://t.co/tBmQekMhq6 雨がぽつぽつ ふりだして つま先濡らす 夕暮れどき 菅原敏/久保田沙耶「 約5年前 replyretweetfavorite

guriswest おお!セレンディピティ。二度と降ることのないように 約5年前 replyretweetfavorite

sugawara_bin 「新訳 世界恋愛詩集」朗読・対談イベント、満員御礼のうち無事終了。青野賢一さんとの朗読、久保田沙耶さんとの対談、皆さんとの楽しきひととき。ありがとうございました! 最新回 約5年前 replyretweetfavorite