chapter4-1 恋愛プレイヤー誕生

恋愛工学のテクニックを駆使し、ついに大きな成果を上げることができた。僕はモテの道を歩みはじめ……。

 昨年の10月、僕は永沢さんに導かれて、大海原に漕ぎだした。

 あれから半年を経て、僕の人生はすっかり様変わりした。

 まずは住む場所が変わった。永沢さんのアドバイスに従い、六本木に引っ越した。それまで住んでいた北品川より家賃が上がるので、その分、部屋は狭くなり、建物は古くなったが、地理的に有利な場所に居を構えることができた。部屋の中はリノベーションされていて、新しいフローリングと白い壁紙はとても清潔感があった。少し大きなベッドと机と本棚、小さなソファと小さなテーブルだけを置いた。あとは窓際にサボテンがあって、机の上にPCがある、とてもシンプルな部屋だ。

 少しばかりオシャレもするようになった。永沢さんのアドバイス通りに、セレクトショップに行って、ひとそろいの服を店員にコーディネートしてもらった。髪型も、美容院でちょっとワイルドな感じにした。ワックスをつけると毛先に動きが出て、かなりイメージが変わる。しかし、遊び人風には見えず、オシャレなビジネスマンという感じだ。女は誰も遊び人に遊ばれたいとは思っていないのだから、遊び人風のファッションを避けるのは当然だ。

 週に2、3回はスポーツジムに行くようになり、食事にも気を使った。おかげで身体は引き締まってきた。スポーツジムのヒップホップのクラスと、六本木のオープン前のバーで催されるサルサ教室にも通い、クラブでも物怖じせずに踊れるようになった。女と話すときは、目を見て話すようにした。レストランに行けば、用がなくても、ウエイトレスと会話した。仕事も集中してやり、いつも早く終わらせて、夜に遊びに行く時間を作った。

 週に3、4回は仕事帰りにバーやクラブに立ち寄り、ナンパする。カフェやストリートでも、女に話しかける。月に1度や2度は街コンに出かける。こうして一週間に数十人の女に出会うことが日常になっていた。

 ナンパするようになって変わった習慣のどれもが、ナンパ以外の人生にも良いことばかりだった。


 この大航海の記念すべき最初の女となった浜松町のOL・詩織だが……。

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ぼくは愛を証明しようと思う。

藤沢数希

恋人に捨てられ、気になる女性には見向きもされず、非モテな人生をおくる主人公のわたなべ。ある日、恋愛工学と出会い、彼の人生は大きく動き出す……。 ファイナンス、経済学、エネルギー政策に関する著作をもち、リスク・マネジ...もっと読む

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コメント

marathonjapan ついに、わたなべ君に抜かされたっ!負けない。 約2年前 replyretweetfavorite

aniram_czech 「私の言行は不一致である」といっておくと、「私は嘘つきである」といったときと同じパラドックスが生まれる。/ 約2年前 replyretweetfavorite

yumirishamo あのワタナベ君がサルサを習っているのか!進歩したな! 約2年前 replyretweetfavorite

new_marke 恋愛プレイヤー爆誕 約2年前 replyretweetfavorite