第二次世界大戦がはじまった

教師助手として働き出していたルネおじいちゃんのもとにも、ついに第二次世界大戦の足音がしのびより、おじいちゃんは週2回「戦争の学校」に通うことに。そして、学校卒業後第二次世界大戦に参戦した彼は、陸軍下士官に任命され、多くの部下とともにドイツ軍と戦うことになります。そこでおじいちゃんが見たものとは?

 フランスには「bisou bisou(ビズビズ)」という習慣がある。

 いわばフランス式のあいさつで、まったくフランスらしいやり方をする。軽く抱き合い、ほっぺたにキスするまねをするように、お互いチュッチュッと音を出すのだ。

 日本の関西みたいに人なつこい人が多いフランス南部では、5回も6回もチュッチュとやるらしい。友達同士で、同僚同士で、先輩後輩で……性別も年齢も関係なくビズビズする姿は、さすが愛の国といった感じだ。

 もちろん、ルネおじいちゃんと義理の孫である私もビズビズをする。

「おいで、マ・ベル(私の美しい人)」

 にこにこと両手を広げるおじいちゃんの頬は、背伸びしないと届かない。大きな樹にしがみつくようにおじいちゃんに抱きつくと、ムスクの香水がふくよかに香り、90歳らしからぬ厚い胸板が頼もしかった。

 そんなたくましさも、きっと戦乱の世を生き抜くためだったんだろう。戦争を知らない80年代生まれの孫たちが、「昔は“戦争の学校”なんてものがあったの!?」と驚くのを見て、おじいちゃんは嬉しいと言った。そんなものを知らなくても生きられる世の中になったなんて、と。

「昔話として聞いてもらおうか。“戦争の学校”、PMSの話をね」

 ルネおじいちゃんはソファにもたれ、パイプのけむりをふうっと吐いた。

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ルネおじいちゃんと世界大戦

牧村朝子

第二次世界大戦終戦から、今年で70年。「戦争」という言葉を聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 日本人にとっての戦争は、映画や教科書や遠い国のニュースの中のものとなりつつあります。そんな中、フランスで国際同性婚を...もっと読む

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コメント

3839Ay 「人を……撃つことを、どう思っていましたか」 ​「何とも思っていなかったよ」 ​ルネおじいちゃんは、過去形で答えた。 2年以上前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu 第一次世界大戦でドイツ兵に家族を殺され、続く二次大戦で若いフランス兵は色めきたった。「やっとドイツ人を殺せる」…憎しみの連鎖に、22歳の陸軍下士官が取った行動とは。今夜だけです→https://t.co/Kil5J0Cnkt https://t.co/ICeVhyIH44 約3年前 replyretweetfavorite

e1___________k0 「それが俺の、リーダーとしての責任だったからだ。国際法では、怪我をした兵士を見つけたら殺さず捕虜にしなくちゃならん」 | 4年以上前 replyretweetfavorite

RyoVenga こんな時間なんだけど!これ、すごいこと書いてるよ!なかなか最前線兵士の話なんて聞けない… 4年以上前 replyretweetfavorite