未来景イノセンス

第7回 補導

ぼくが振り向くより先に、後ろから二の腕を掴まれた。前に廻り込まれ、行く手を塞ふさがれる。 回数券を握りしめた手に力が入った。「なんですか……?」――。大ヒットボカロナンバー『未来景イノセンス』の発売を記念して、一部を公開します。



—どうしよう、これ。
 どうもこうもない、拾ったものは他人の物であってぼくの物ではないのだから当然届けなければいけない。
 —でもさ……。
 名前が書いてあるわけじゃないし、こんなところに落ちてるのも何かの縁だし、貰っちゃってもいいんじゃないのかな?
 もう一度ぎゅっと握りしめた。じわりと掌に汗が滲む。
 —ああどうしよう……!
 せっかくここまできたんだし。この切符で、もう少し上へ行ってみたくはないか? 時間はまだある。ぼくは選抜校に落ちた。言ってみれば今この街で一番傷ついている人間の一人だ。これくらいのこと、神様だって見逃してくれるんじゃないかな?

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未来景イノセンス

koyori(電ポルP) /石沢克宜

人々が空に住むようになった未来の世界。空中都市ホクトに住む中学生のシマは、幼い頃­から好意を持っているミドリと同じ高校を受験するも失敗してしまう。好きな人や親友た­ちと離れ離れになる現実から目をそらすシマだが、時間は無情にも過ぎ去って...もっと読む

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