未来景イノセンス

第4回 再会

彼女の名前はすぐに見つかった。 ミドリは3年1組にいた。――やっぱりあの子だったような気がする! 現金なものだ。ぼくの記憶は思い込みによって簡単に更新された。そうであってほしいという希望もあったと思う。あのときの話をミドリともっとしたかった。――。大ヒットボカロナンバー『未来景イノセンス』の発売を記念して、一部を公開します。



「うん。この子の名前。加賀谷ミドリだよ」
 ぼくは写真を見直した。……思い出してみても全く覚えがない。
「このミドリって子があのとき、雲の下に地面があるって言ってたってこと?」
「確か、そうだろ。ナガトがな、すげー突っかかってってな。あいつ、ミドリのこと好きだったんじゃねーのかな」
 ぼくはまじまじと、写真に映る小指の爪の先ほどのミドリの顔を見つめた。……髪が長く色白で、固く結んだ口が意志の強そうな、五月人形の若武者みたいな顔つきの子だ。
「幼稚園で同じ組ってことは、今うちの学校にいるってことだよね?」
 ぼくは当たり前のことを敢えて口に出してみた。幼稚園が同じなら、小学校も同じ可能性が高い。
「学年名簿……ある?」
 年度の始めに配られる学年の名簿をタローがお母さんから借りてきて、1組から名前を探した。彼女の名前はすぐに見つかった。
 ミドリは3年1組にいた。

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未来景イノセンス

koyori(電ポルP) /石沢克宜

人々が空に住むようになった未来の世界。空中都市ホクトに住む中学生のシマは、幼い頃­から好意を持っているミドリと同じ高校を受験するも失敗してしまう。好きな人や親友た­ちと離れ離れになる現実から目をそらすシマだが、時間は無情にも過ぎ去って...もっと読む

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