未来景イノセンス

第3回 幼稚園時代

いくら当時の記憶が曖昧あいまいだからって、人がまるごと入れ替わってしまうなんて。幼稚園の思い出の中でもとくに印象的な出来事のはずなのに。浮かび上がった女の子”加賀谷ミドリ"とは一体――。大ヒットボカロナンバー『未来景イノセンス』の発売を記念して、一部を公開します。



「せんせえー、街の下を、ずーっと下に行くと、地面があるんだよね?」
 タローは先生にすがりつくように言った。
「え? じめんて?」
 アキコ先生はいきなりのことでなにを聞かれているのかわからなかったようだ。
「この街の、何百メートルも、何千メートルも下に行くと、違う地面があるんだよ! ね? そうだよね?」
 タローは繰り返した。
 ぼくは両手を握りしめていた。先生ならこの状況をなんとかしてくれる。それも正しい知識でもってこの場を収拾させるに違いない。
「街は雲の上に浮いてんだよー! 歌に書いてあんだよー!」
 ナガトくんを始め周囲の園児共がまた騒ぎ出す。うるせえ。何も知らないくせに。

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未来景イノセンス

koyori(電ポルP) /石沢克宜

人々が空に住むようになった未来の世界。空中都市ホクトに住む中学生のシマは、幼い頃­から好意を持っているミドリと同じ高校を受験するも失敗してしまう。好きな人や親友た­ちと離れ離れになる現実から目をそらすシマだが、時間は無情にも過ぎ去って...もっと読む

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