「楽しむ気持ち」になるための努力
“ブラジルの至宝”と呼ばれるサッカー界のスーパースター、ネイマール選手のスパイクには「ALEGRIA」と刻まれています。
これは「楽しみ」という意味のブラジルポルトガル語で、「どんなにつらくても、サッカーを楽しめ」という父親の教えを大切にしていることからのようです。
「サッカーを楽しむことを常に忘れないように心がけている」
とネイマール選手自身もインタビューで話しています。
あれだけのスーパースターであれば、さぞかし毎日が楽しいだろうとも思われますが、スーパースターであるがゆえの苦悩の大きさは我々の想像を超えるはずです。
短いあいだでもゴールが挙げられない時期が続けば、ファンから痛烈な批判を浴びせられ、メディアからも厳しい批判記事で叩かれます。サッカーの王様、ペレ氏が「ネイマールはブラジルの10番にふさわしくない」と言っていた時期もあるくらいです。
天才といえども、ひとりの人間です。そうしたときには誰だってつらくなり、自分のやっていることを純粋に楽しむ気持ちも失われてしまいます。
しかしネイマール選手は、常に楽しむ気持ちを維持できているからこそ、あれだけ非凡な活躍を続けられているわけです。
楽しむ気持ちは、ただ普通にしていて維持できるものではありません。最初のうちは楽しかったとしても、結果が出なかったり、批判や非難を浴びれば、次第につらさが大きくなっていき、やがて楽しさも消えてしまいます。
そうしたときに自分の気持ちを問い直し、〝努力して〟楽しむ気持ちを維持していく必要があるのです。
ともすれば楽しむ心がかき消えそうなところでネイマール選手が戦っていることが「ALEGRIA」の文字から窺えます。
サッカーに限らず、一般的な仕事でもそうです。
自分の仕事を常に楽しんでいられたなら最高ですが、いつでも楽しんでいられるほど、仕事はあまいものではありません。それでも、「つらい」と思って仕事や勉強をしていれば成果はあげられず、成績も伸ばせていけないものです。楽しむという気持ちのロウソクの火が消えてしまわないようにしながらやっていくことが大切です。
以前に私は〝狩りの感覚〟で卒業試験に臨んでいたというエピソードを紹介しました。このときの私は、三六科目の一つひとつをクリアするたびに○をつけて「GET!」と書いていました。ゲーム感覚にも近い楽しむ気持ちを失わないように意識していたことでモチベーションを保てていたのです。
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