「サブカル漢方」の連載は今回が最終回となりました。
漢方に興味を持っていただいた方々のために、最後に漢方の真髄とは何かについて書いておきたいと思います。
『本草図譜. 巻5-8』岩崎,灌園,他(国立国会図書館デジタルコレクションより)
こころと体を整える整体観念とは
漢方の大きな特徴として「
この言葉の射程範囲は広く、大きく言えば「人は森羅万象と一体だ」という意味になりますが、私が重視しているのは「ココロと体は不可分一体だ」という点です。
メンタル面のコンディションと体のコンディションが無関係ではないことは、皆さんも実感する場面があると思います。
例えば緊張するとおなかが痛くなるとか、カゼを引くとヤル気がなくなるとか、怒ると血圧が上がるなど、経験したことがある人も多いと思います。
『本草図譜. 巻57-59』岩崎常正(国立国会図書館デジタルコレクションより)
漢方の考えはさらに一般化されています。
ココロのコンディションは体のコンディションそのものなのです。ココロと体が別々にあって、一方が一方に影響を及ぼすというイメージではなく、もともと一体なのだという発想です。
ココロのコンディションは体のコンディションそのものですから、気分の良し悪しは陰陽、気血水、臓腑などのコンディションを反映しています。
陰陽、気血水、臓腑というのは、生命体のコンディションを左右する要素です。漢方は、これらの要素のバランスや状態によって、健康になったり病気になったりすると考えています。
気分がよいときは、陰陽、気血水、臓腑のコンディションもバランスが取れていると考えてよいのです。
気分がウツっぽかったら、それだけで漢方的には「不健康」です。そのような場合には、陰陽、気血水、臓腑のコンディションが、どこかおかしいはずだと考えます。
楽しみなさい、されば救われん!
この世にはタダでさえ気分を害する要素が「盛りだくさん」です。しかもココロは目に見えませんから、ココロを傷つけることに鈍感な人も多いときています。
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