堺三保 /尾之上浩司 /横道仁志 /渡辺英樹 /牧眞司 /小山正 /coco /丸屋九兵衛
ハヤカワ文庫SF総解説プレビュー②珍品篇
SFマガジン2015年4月号(2月25日発売)にて掲載する「ハヤカワ文庫SF総解説 PART1[1~500]」。雑誌の発売に先駆け、ちょっとだけお見せします! 長い歴史のなかには「なんだこれ……?」みたいな珍品も存在します。今回は「珍品篇」として8本をチョイスしました。
79 1973年1月
永遠に生きる男
R・D・ミラー&アンナ・ハンガー
The Man Who Lived Forever,1956/関口幸男訳/カバー:斉藤寿夫/解説:梶原正也
白背の中でも、なぜこれを翻訳することが決定したのか、今となってはよくわからないこときわまりない一作がこれ。本国では、エース・ダブルでジェリイ・ソールの長篇(未訳)と合本で出版されたというのだが。
主人公がどうやって不老不死を得ているかが、物語のクライマックスを構成する謎なのだが、そのあまりにも50年代っぽい適当な疑似科学ぶりもすごいが、何よりも彼一人だけが不老不死であり公明正大な支配者であり続けている理由の、全くといっていいほど底抜けな説明には、頭が痛くなることうけあい。
作者のミラーの著作は他に長篇一作といくつかの短篇、そして数冊のノンフィクションのみ。共作者のハンガーにいたってはこれ一本きりという点も、本作選出の不可解さに拍車をかけている観がある。(堺三保)
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この連載について
堺三保 /尾之上浩司 /横道仁志 /渡辺英樹 /牧眞司 /小山正 /coco /丸屋九兵衛
SFマガジン2015年4月号にて掲載する「ハヤカワ文庫SF総解説 PART1[1~500]」。雑誌の発売に先駆け、ちょっとだけお見せします!
著者プロフィール
63年大阪生まれ。作家/脚本家/翻訳家/評論家、つまりはよろず文筆業。評論・翻訳は、英米の娯楽小説、映画、テレビドラマ、コミックスが専門。テレビアニメのSF設定や脚本の仕事も多い。SF設定の近作はテレビアニメ『エウレカセブンAO』(毎日放送/BONES)、近訳書は『シン・シティ(1~4)』(フランク・ミラー著/小学館集英社プロダクション)。その他、『S-Fマガジン』、『映画秘宝』等の雑誌に寄稿多数。2007~2010年、南カリフォルニア大学映画芸術学部映画/TV製作科に留学。卒業後はこれまでの仕事に加え、映画監督を目指して悪戦苦闘中。
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