傷口から人生。

学校ってなんだろう?

うつ、不登校、リストカット……。辛い学生生活を過ごした小野美由紀さんが、卒業してはじめて母校へ出向いた時のお話です。最も苦手だった国語の先生との8年ぶりの再会によって、小野さんが気付いたこととは何だったのでしょうか。『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった 』(幻冬舎)の内容をcakesで一部公開していきます。

 21歳の時、用事があって母校の中学におもむいた。

 私は母校が苦手だ。

 私にとって母校は、恥ずかしさと屈辱感の歴史そのものだ。最も思い出したくない記憶が、束になってつまっている。

 本当は行きたくなかったが、なぜ足を運んだかと言うと、当事インターンをしていた教育系のNPOが中学生向けの教育支援プログラムを開発していて、そのために学校の先生の意見をヒアリングするという仕事を任されたからだ。母校だったら気安いだろうと言われて、最初にアポを取ったのだが、私にとっては一番、気の重くなる場所だった。

 吉祥寺のはずれにある、中高一貫校。

 通っていた当時よりも、改築してずっと綺麗になった校舎は、なんだか見知らぬ他人のようで、懐かしさなんて、微塵みじんも感じなかった。

 まるで、昔着ていた服が、いつのまにか仕立て直されて、全く別の服になっていたような。

 中学校の職員室のドアを開ける。

 普通のドアの100倍、重く感じる。

 放課後の人影のまばらな職員室には、中3の時の国語の先生がいた。どきっ、とする。

 50過ぎの、見るからに頑固ジジイ、といった風貌のいかめしい先生で、いつも何かに怒っていて、生徒に怖がられていた。最も苦手な先生だ。

 おそるおそる話しかけると、先生は顔を見るなり「お前、生きてたのか」と言って、突然、はらはらと大粒の涙をこぼされた。

 私はあっけに取られて、先生の顔を眺めた。

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傷口から人生。

小野美由紀

中3で自傷&不登校。大学に馴染めず仮面浪人。留学、TOEIC950点、インターン等々の無敵の履歴をひっさげ大企業の面接に臨んだのにパニック障害に! 数々の困難にぶつかってきた女子、小野美由紀さんの衝撃と希望の人生格闘記『傷口から人生。...もっと読む

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コメント

miyaan2010 |傷口から人生。|小野美由紀 @MiUKi_None |cakes(ケイクス) いい話。 https://t.co/PGUueuc6kt 5年弱前 replyretweetfavorite

sunny7188 ここまで明確ではなかったけど、私も同じようなこと感じてたことがあった。 5年弱前 replyretweetfavorite

girliennes このシリーズとても面白く読んでいるけど、今回特によかった。時間が経って初めてわかる過去のこと。人生はミステリーだなあ  5年弱前 replyretweetfavorite

yuka_amanay |傷口から人生。|小野美由紀 @MiUKi_None |cakes(ケイクス) 学校って、先生って、教育って、大人って、なんて素敵。 私も大人になろう(決意) https://t.co/E6fulUw2Hw 5年弱前 replyretweetfavorite