《朝香宮邸 大食堂壁画》アンリ・ラパン 1933年
東京・目黒にある東京都庭園美術館は、昨年の暮れにリニューアルオープンして人気を博している美術館です。何が評判であるかといいますと、そのつど催される企画展ももちろん魅力的なのですが、ここの建物そのものが「売り」なのですね。
何しろ展示場所となっている建築は、1933年竣工の朝香宮邸。できるかぎり当時の姿を留めるための修復がここ数年おこなわれ、いっそうラグジュアリーな空間となって再登場いたしました。身を置いているだけで、うっとりとした気分に浸れますよ。
現在の展示は、「幻想絶佳:アール・デコと古典主義」というものです。朝香宮邸は、20世紀前半に欧州と米国を席巻した装飾様式たるアール・デコの、日本における代表例とされます。幾何学的なパターンを前面に押し出すデザインがアール・デコの特徴でして、作品を見ていて独特の規則性を見出すと、なんだかクセになってしまう魅力があります。 朝香宮邸での展示ですからアール・デコなのはわかりますが、もうひとつ、古典主義というのも展名に掲げられていますね。