心理的〆切と物理的〆切
前回の連載の後半で〆切の話をしましたが、〆切には二つの種類があることをまず知っておいてください。
ひとつは「心理的〆切」で、二つめが「物理的〆切」です。
心理的〆切とは、自分の頭の中だけで「いつまでに終わらせよう」と思っている気持ちのうえだけのものです。それに対して物理的〆切は、納品日あるいは受験日などが実際に設定されているものです。
この両者の違いは、「他人」がいるかいないかです。
心理的〆切では、設定した〆切を知っているのは自分だけなのに対して、物理的〆切では、誰か他の人が関わっていて〆切を待っています。
そうした状況を考えても、有効なのは物理的〆切のほうになります。
自分の中だけの心理的〆切には、まったく効果がありません。
自発的に〆切をつくる際にも、他人の存在が必要になるということです。
自分の頭の中だけにある〆切を破ったとしても、実害はないので、作業を頑張るための原動力にしかなりません。もちろん、意思の力が強ければ、それを守って最後まで作業をやり通せるわけですが、そもそもそういう人は、〆切がなかったとしてもちゃんとやれるタイプです。
〆切を必要とするのは、〆切がなければだらけてしまう人だからともいえます。だからこそ、自分の中だけでなく他人を介入させることに意味があるのです。