社会問題化した、恋人の行動記録を監視することができるスマートフォンアプリ「カレログ」。こっそりインストールしてしまえば、本人に気付かれずに行動記録をすべて外部から見張れるというもので、社会的な非難が集中した。セキュリティソフト開発会社のマカフィーはこれをウイルスと認定。騒動の末、サービス停止に追い込まれた。
また、位置情報付きのツイートや個人の行動などからインターネット上で個人を特定して、付きまとう悪質ないたずらを行う集団も現れた。
スマホが常にネットに接続し、位置情報を発信し続けるようになり、さまざまなコミュニケーション上のトラブルが起こっている。その気になれば、個人の居場所や行動はネット上で筒抜けとなる。
位置情報は犯罪の手段として使われるリスクも持つ。
例えば、各国の大使館が集中する東京・赤坂に狙いを定め、「赤坂周辺のグルメマップ」など一見何の変哲もないスマホアプリに位置情報をこっそり送信する機能を仕込む。そのアプリのユーザーの行動履歴をつぶさに調べれば、ある大使館にいつも決まった時間に出勤する人が見つかるかもしれない。そうすれば、そのユーザーの行動を常に監視できる。同じように、原子力発電所などの重要施設に定期的に出入りしている人の端末を特定して、ウイルスを仕掛けるなどのスパイ行為も不可能ではない。
「どのIPアドレス(ネット上に接続された機器を識別する番号)がどの位置情報を持つかの情報を売買する業者がいるという情報もある」(西本逸郎・ラック専務理事)という。
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