これから俺たち、殺されるのに」

90歳の元陸軍大佐・ルネおじいちゃんの話は、「最後の最後の戦争」だと呼ばれていた第一次世界大戦から、第二次世界大戦へと続きます。第一次大戦でドイツ軍の捕虜となっていたものの解放された父親と、戦争が終わるまで彼を待ち続けていた母親。ふたりにいつくしまれてスイスで育ち、フランスに戻ってきたルネ少年は、つかのまの平和のなかで、次の戦争への気配をどう感じ取っていたのでしょうか。

 自分が大人になったことを感じる瞬間って、色々あると思う。

 例えば、電車のつり革に初めて手が届いた瞬間。

 例えば、ブラックコーヒーを初めて口にする瞬間。

 初めて背広に袖を通す瞬間というのも、そのひとつに数えられるかもしれない。

 今から約70年前。

 当時成人したばかりのルネおじいちゃんに、母親は背広を仕立てようとしたらしい。その時のことについて今、90歳を超えたルネおじいちゃんはこう語る。

「俺はママンに言ったんだ。

『なんで背広なんか必要なんだ? これから俺たち、殺されるのに』」

 第二次世界大戦の始まりは、ルネおじいちゃんの少年時代の終わりだった。


フランス・ランティーユ村の戦死者をまつる石碑。人口数百人の村にすら犠牲者が出た

「戦争が始まる前って、わかるものなんですか? 一般の人にも」

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ルネおじいちゃんと世界大戦

牧村朝子

第二次世界大戦終戦から、今年で70年。「戦争」という言葉を聞いて、みなさんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか? 日本人にとっての戦争は、映画や教科書や遠い国のニュースの中のものとなりつつあります。そんな中、フランスで国際同性婚を...もっと読む

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makimuuuuuu “俺はママンに言ったんだ。『なんで背広なんか必要なんだ? これから俺たち、殺されるのに』”――第二次世界大戦を目前に、当時20歳のルネ青年が見たこととは。今夜だけに設定します→https://t.co/F4IXTTIuLc https://t.co/VclCCG8EHL 約3年前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu フランス敗戦後もナチスに抗い続けた、96歳元陸軍大佐が語るノンフィクション「ルネおじいちゃんと世界大戦」。明日最新回が掲載!お楽しみに◎ ▼第一回※ずっと無料 https://t.co/0J6L3uSklU ▼人気回※今夜だけ無料 https://t.co/fvixSMNEY5 4年以上前 replyretweetfavorite

miraigoo 元フランス陸軍将校・ルネおじいちゃんが語るノンフィクション。今回は「戦争が始まる前ってわかるものなの?」という孫に答えて、二次大戦直前のお話です。 ▼ https://t.co/fwo5kSmei6 http://t.co/8GUCdR8FZg 4年以上前 replyretweetfavorite