山内宏泰
遠く離れたミャンマーに感じる日本の原風景——津田直「NAGA」展
国内外を問わず、各地へ赴き、さまざまな光景を写真に収めてきた写真家の津田直さん。東京・恵比寿にある「POST」では彼の写真作品の個展、「NAGA」展が現在、開かれています。今までは対象をしっかりと定めて、1枚の写真を仕上げていた津田さんですが、今展で観られる写真からは「動き」が強く感じられるそう。今回、津田さんはミャンマーの北西部へと赴き、どのような方法で写真を撮られたのでしょうか。
東京・恵比寿駅から少々歩くと現れるのが、ヴィジュアル本を主に扱う書店にギャラリーが併設された「POST」。いま展示がおこなわれているのは、「NAGA」展。津田直による写真作品の個展です。
津田直は、国内外を問わず各地へ赴き、さまざまな光景を写真に収め、作品をつくってきました。思い定めた場所へ赴き、そこへ身を置き、人々と触れ合い、周囲のものごとをよく見て、対象をしっかりとつかんで一枚の写真を仕上げる。それが津田の創作でした。
ところが、今展で観られる写真は、すこし様相が異なります。いつもの静的なイメージではなく、「動き」が強く感じられるのです。作家が歩きながら空間を感じ取っている、その息づかいが伝わってくるような写真です。そう、今回は、フィールドワークを通しての作品であるといいます。
撮影地はミャンマーの北西部、ザガイン管区というところです。インドとの国境付近で、ここにはナガ族と呼ばれる人たちが住んでおります。山で獲物をとったりしながら、赤と黒を基調とした民族衣装に身を包んで暮らしています。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/