山内宏泰
柔らかい色彩に吸い込まれそう——ジュール・パスキン展
現在、東京のパナソニック汐留ミュージアムでは、淡い色彩と、滑らかで繊細な輪郭線に特徴を持つ、ジュール・パスキンの回顧展が行われております。ピカソ、シャガールと並び、若くして才能を認められたパスキン。彼が描く女性や子供の作品は、輝きを放ちながらもどこか物憂げで寂しそう。16年ぶりに日本で開催される「パスキン展」。この貴重な機会をお見逃しなく!
どこまでも眼に優しく、それでいて、どこか拭い去りようのない哀愁を帯びてしまった淡い色彩。四方に伸びる描線も、細くたなびくようで色合いとぴったり。一枚ずつの絵がどうこうというよりも、まずは部屋に掛かった幾枚もの作品全体が醸し出す柔らかな空気に打たれます。
どれも、ブルガリア生まれのジュール・パスキンの絵画です。東京・汐留のパナソニック汐留ミュージアムで開かれている、「パスキン展」に来ております。
パスキンは、エコール・ド・パリと呼ばれる一群の画家たちの、代表的存在と目されます。エコール・ド・パリとは1920年代、芸術の中心地だったパリに集い創作活動をした、おもに異国からやって来た画家たちのことを指します。そのなかには日本人画家、藤田嗣治もいて、高い人気を誇っていました。
その中心人物ではあるものの、パスキンの作品が日本でまとめて観られる機会というのは、なかなかありません。今回はたいへん貴重な場といえましょうね。
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この連載について
山内宏泰
世に“アート・コンシェルジュ”を名乗る人物がいることを、ご存じでしょうか。アートのことはよく知らないけれどアートをもっと楽しんでみたい、という人のために、わかりやすい解説でアートの世界へ誘ってくれる、アート鑑賞のプロフェッショナルです...もっと読む
著者プロフィール
ライター。美術、写真、文芸その他について執筆。著書に『写真のフクシュウ 荒木経惟の言葉』(パイインターナショナル)『写真のフクシュウ 森山大道の言葉』(パイインターナショナル)『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)『写真のプロフェッショナル』(パイ インターナショナル)『G12 トーキョートップギャラリー』(東京地図出版)『彼女たち』(ぺりかん社)など。東京・代官山で毎月第一金曜日、写真について語るイベント「写真を読む夜」を開催中。東京・原宿のスペースvacantを中心に、日本写真を捉え直す「provoke project」開催中。
公式サイト:http://yamauchihiroyasu.jp/