第53回】「好きなことで、生きていく」が追い詰める極端化する世界

『すべてのニュースは賞味期限切れである』、2015年初めての通常回更新です! 「2014年は当たり年だった」という話を年末年始の特別企画などで散々語ってきましたが、どっこい2015年は1月から世界を揺るがすニュースがてんこ盛り。1月に起きたニュースを振り返りながら、ネットを中心に今起きている社会の変化を探ります。

2015年1月の主なできごと
・フランスの週刊誌「シャルリー・エブド」本社をイスラム過激派に襲撃し12人を殺害。犠牲者の追悼と表現の自由を求める行進が370万人に達する。
・14年12月31日に、元愛人を名乗る女性が岡田斗司夫とのキスプリクラ画像を公開。岡田氏の「愛人リスト」が暴露されるなどトラブルが続いた。
・YOUTUBEにスーパーの商品につまようじを刺す動画をアップした少年。警察を挑発する映像を公開しながら逃走し、米原駅で逮捕。
・過激派組織ISILが、後藤健二さん、湯川遥菜さんを拘束し身代金を求める映像を公開。後に二人を殺害した映像も公開される。
・名大生の19歳の少女が、斧で知人女性(77)を殺害。「人を殺してみたかった」と供述。

仰天事件がてんこ盛りの1月を振り返る

速水健朗(以下、速水) 年末から年明けにかけては、スペシャル版をお送りしたので、2月だけどようやく今回から通常営業。ごぶさたでした。

おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 今日からまた二人きりですね。

速水 え、う、うん……。

おぐら さて、2015年の1月は、2014年に負けないくらいの勢いで仰天事件が発生しています。1月7日には、パリの風刺新聞「シャルリー・エブド」へのイスラム過激派による襲撃事件がありました。

速水 日本全体が、湯川遥菜さんと後藤健二さんがイスラム国の人質になった事件で持ちきりだったので、忘れそうになったけど、そっちが先にあったんだね。

おぐら 後藤さんのお母さんも、かなりの存在感を発揮しましたから。

速水 日本外国特派員協会の会見に登場した石堂順子さんね。「地球が悲鳴を上げてます」。ちょっと変わった人だよね。

おぐら 息子さんの生死にかかわる会見かと思いきや、ご自身の生死をかけた声明でした。「もし原子力がいい方の活用じゃなくなるのであれば、私は、私の命を失うことも全く厭いません」と。

速水 これにはテレビも新聞も一斉にスルーするしかなかった。

おぐら 同じくスルー案件としては、「私自身、イスラム国に行く用意がある」発言のイスラーム法学者・中田考氏もいましたね。

速水 そんな中、ネットでは岡田斗司夫の問題が、一部でイスラム国以上の猛威をふるったことにも触れないと。

おぐら 決して同列で語ってはいけない、語りたくもない問題ですが、時系列が同じだから仕方ありませんね。キス写真を女性に公開されたのがきっかけで、あれよあれよと80股の愛人騒動に発展しました。

速水 「年齢差」「巨乳度」「床上手・名器度」などのメモ書きが記された愛人リストの流出が騒動になった。これはまた地球の悲鳴が聞こえてきそう。

おぐら 地球関係ないです。

速水 愛人リストの相当数が妄想なんじゃないかという説もあるけど、おもしろいのは本人の釈明ね。岡田斗司夫流に言えば、恋愛なんて時代遅れで、これからはシェアです、なんだとか。自説の評価経済論をぶちかますという。

おぐら 余裕があったのは最初だけで、結局は入院しちゃったり、岡田さんのサポート組織・FREEexの代表を辞任しちゃいましたけど。

速水 そして、その話題がまだ収束しないタイミングで、湯川さんと後藤さんがイスラム国によって処刑されてしまった。ヨルダンを通じた交渉期限の直前には、トルコの国境地帯に移送されたという情報もあったらしい。

おぐら とにかく1月は本当に次から次へとニュースが飛び込んできて、話したいことはたくさんあるのですが、個人的には「つまようじ少年」がすごく気になったんです。

速水 あ~、あったね。コンビニの商品につまようじを突き刺した映像と万引きの映像をYouTubeにアップした事件だ。

おぐら これも1月のニュースで、11日に最初のつまようじ動画が投稿され、その後、逮捕状が出ている状況のなか警察を挑発する動画を次々に投稿しながら逃亡を続け、1週間後の18日にようやく犯人である19歳の少年が逮捕されました。

速水 つまようじを刺した商品も結局は自分で買って帰ったらしいとか、犯罪を偽装して社会や警察に挑戦していたんだよね。今となっては小さな話題のような気もするけど。

おぐら 僕はその動機や一連の流れも含め、近年のあらゆる事象にも通じる重要な事件だと思ったんです。

速水 そうなの? じゃあ、今回はつまようじ少年の話をしようか。どの辺が重要なポイントなんだろう。

「好きなことで、生きていく」が人を追い詰めるネット時代
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すべてのニュースは賞味期限切れである

おぐらりゅうじ /速水健朗

政治、経済、文化、食など、さまざまジャンルを独特な視線で切り取る速水健朗さんと、『TVブロス』編集部員としてとがった企画を打ち出し、テレビの放送作家としても活躍するおぐらりゅうじさん。この気鋭のふたりのライターが、世の中のニュースを好...もっと読む

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tamura_jp ネットだと、その目立ち度がビューアー数のような形で数値化されてしまうから、依存症になりやすい|速水健朗 @gotanda6 /おぐらりゅうじ @oguraryuji |cakes(ケイクス) https://t.co/qGMWBTGfUX 4年以上前 replyretweetfavorite

quipout37 ノームコアってワードが出てきてて何だろうと思って調べたら、ファッショントレンドらしいことが分かった。ただ、速水氏はhttps://t.co/qWJnGFqmFeでノームコアに触れてます、って言ってるんだけど、触れてるだけで全然内容について語ってないよねえ。 5年弱前 replyretweetfavorite

sayanu "極端に向かってしまうのは、あまりに広大なネットの世界水準を比較対象にしてしまうからで" 5年弱前 replyretweetfavorite

oguraryuji その極端が真逆の方向へいくと「ノームコア」になるのでは?という話です。 5年弱前 replyretweetfavorite