前回、ユーザーの体験を重視するマーケティング(PED)は、従来のマーケティングに比べてユーザーの体験に沿った「プラットフォーム」化を進めやすいため、事業の拡大が容易だという話をしました。
一方、昨年11月のコラム「『PEDマーケティングはニッチ企業のもの』は本当か?」でも、複数の製品の技術的共通性を「プラットフォーム」と見立てれば、大企業であってもユーザー体験を重視するマーケティングで事業の規模を追うことはできる、と述べました。
この2つの考察を合わせると、個々のユーザーの体験を重視する、マス市場を追わないマーケティングであっても、大企業がその技術や顧客の基盤を活用しながら事業を拡大することはできる、ということが言えると思います。
GEが導入し始めた「ファストワークス」という新手法
そんな話をしていたところに、ちょうどこんな記事が飛び込んできました。
最強企業GEも振り向くシリコンバレー流「迅速経営」:日本経済新聞
昨年12月の「日経情報ストラテジー」誌に掲載された記事のまとめです。日経電子版の有料会員しか読めないと思いますので、簡単に内容をかいつまんでご説明すると、皆さんもご存じの世界的大企業ゼネラル・エレクトリック(GE)が、2012年頃から世界全体に「ファストワークス」と呼ばれる製品開発手法を普及させ始めているというものです。
従来のGEの製品開発プロセスは(おそらくGEに限らず、世界中のどのメーカーでも似たようなものでしょうが)、次のようなものでした。
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