進むデジタル世界の完全掌握
デジタル地図が普及する前、初めて聞く地名が世界地図のどこにあるかを探すとき、どうしていたか覚えているだろうか。
まず、地図はマス目状に区切られていた。地図帳の索引から地名を見つけ、ページ番号と「C-4」といったマス目の場所を示す記号を確かめる。そして該当ページに行き、C-4エリアの中から目当ての地名を探すのだ。
だが、インターネットで地図を使うようになってからは、そんな探し方はしない。検索窓に地名を入力し、“ググる”だけである。
グーグルは自らの使命を「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」と定めている。グーグルマップとグーグルアースのサービス開始は2005年。以来、地名は検索可能なものとなった。さらに今、それぞれの地名が持つ“風景”も検索可能になりつつある。
07年に始まったストリートビューは、平面図だったグーグルマップに、路上からの眺めを写真で確認できる機能である。
複数のレンズを仕込んだ特別なカメラで、360度にわたって写真を撮影しながら道路を走る。撮った画像は切れ目なく縫い合わされ、パソコン上ではまるでその場所に立って周囲を見渡しているかのような体験をもたらす。
屋根にカメラ、レーダー、GPSを積んだストリートビュー・カー。ベースはトヨタのプリウスだ
複数のカメラでぐるりと360度、風景を撮影し、重なり部分を縫い合わせてパノラマ画像を作製する
撮影機材も、普通の乗用車だけでなく、狭い路地まで入れるトライク(三輪車)、雪道を行くスノーモービル、手押し車タイプやリュックサック型と、撮影場所に応じてバリエーションがある。
現在、南極を含む44カ国、日本では43都道府県で展開中。そしてもはや、撮影場所は「ストリート」ですらない。
現在43都道府県でサービス提供されるストリートビュー。残るは青森、鳥取、徳島、高知の4県だ
70億画素の高精細で
美術品をネットで鑑賞
ある日の早朝、記者がグーグルによる撮影に同行したのは、東京・六本木のホテル、グランド ハイアット 東京のロビーだった。
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