なぜ、アップルは「地図」でつまずいてしまったのか。
アップルは、日本国内の地図はパイオニア系の地図製作会社インクリメントPなど複数の企業からデータを購入し、日本以外ではオランダのポータブルナビメーカー、トムトムのデータが多用されている。
もっとも、グーグルやヤフーなど地図サービスを展開する他社もゼンリンからデータの提供を受けており、基となるデータを外部から購入することは決して珍しいことではない。
しかし、地図作りにおいて、重要なのは基となるデータのうち、「何を強調して何を表示するか」という編集作業だ。実は、この作業がノウハウの塊でもあるのだ。アップルは、どうも、そこに気付かずに、購入したデータを右から左へと流せば、地図が提供できると考えていた節がある。
道、駅、空港、商業施設、山や川といった膨大な情報。そして、駅の名前はきちんと駅の上に重ねなければならない。そんなふうに、膨大な量の情報と属性を重ね合わせるよう設計することこそ、地図作りの肝となる。それが足りなかったり、ずれてしまえばとんでもないことが起こる。
実在しない駅「パチンコガンダム駅」は二重三重のミスが原因だと思われる(下図「実在しない駅」参照)。かつて近隣にあったパチンコ店の名前が「ガンダム」だった。おそらく「情報が古い上に、間違えて駅に重ねてしまい、さらに駅の位置すら間違っていたのでは」(業界関係者)。
都市機能が密集する日本では、より高度なノウハウが求められるが、「アップルは世界共通の尺度で編集したように見える」(ライバル社)。車社会の米国と異なり、日本では道路と同じくらい鉄道が重要だが、東京駅や新宿駅ですら、かなりあっさりとした表現になっている。
こだわりのものづくりで知られるアップルだが、地図作りについては無神経過ぎたといえる。
(C)2012 Apple Inc.
(C)2012 ZENRIN,2012 Microsoft Corporation
Yahoo!ロコ 地図
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