別の男と結婚してもいいぜ。でも、俺の遺伝子は残せ。
『噂の東京マガジン!』を観ていたら、鬼怒川温泉のある廃墟ホテルが解体されないまま取り残されている問題を取りあげていた。VTRが終わり、スタジオに戻ると、建築と法律に詳しい女性学者の意見をフリップにまとめたものを清水國明が読み始めたのだが、彼はその女性学者を「○○ちゃんによりますと……」と紹介、周囲のおじさん共は「いやいや、ちゃん、じゃないでしょうよぉ~」と楽しそうに茶々を入れた。廃墟ホテルよりもこのおじさん共の解体を急かしたい気持ちでいっぱいになった。
もう2、3年前のことになるが、日曜朝のトーク番組『ボクらの時代』に、年の離れた妻を持つ3人、加藤茶、ラサール石井、高橋ジョージが登場した。彼らは、若い奥さんと恋に落ちて、中学生に戻ったようだと口を揃えながら、こんなことを言った。「オレが先に死ぬからその時は必ず再婚しろと言っている」「うんうん」「でも、自分の遺伝子は遺したいから子どもは欲しい」「うんうん」。傍若無人という言葉がこれだけ似合う会話も珍しい(ので、メモ書きして残してあった)。別の男と結婚してもいいけど、俺の遺伝子は残せ、というのである。
「夫婦というより、僕が育てていた面もあった」
世の中が、男と女、どちらの文脈で動いているかとなれば、やっぱり男の文脈と即答することになるのだけれど、現実に『噂の東京マガジン!』のおじさん連中や、若い奥様を貰って嬉々とするおじさん連中の姿を目の当たりにすると、改めて危機感が芽生える。